2分でわかるアメリカ

2012/11/20「財政の崖」とマーケット


「ブッシュ減税」と呼ばれる全ての所得者層に恩恵がある減税措置の期限が切れて増税になる、そして、過去に成立した法案で大幅な歳出削減が自動的にはじまるタイミングが年明け1月1日の同時になるため、アメリカだけではなく世界経済に大きな打撃になるとの強い懸念があります。いわゆる「財政の崖」問題です。崖から落ちてしまうように財政が一気に引き締まるため、こう呼ばれます。

「財政の崖」を回避するための初めての協議が、先週金曜日16日にはじまりました。ホワイトハウス側からオバマ大統領とバイデン副大統領。そして議会側からは、共和党と民主党の上下両院の代表合わせて4人が意見を交換しました。オバマ大統領と議会リーダーの当面の回避を巡る考えは類似していて、「年内に減税問題を片付け歳出削減を巡る問題は年明けに持ち越し時間を稼ぐ」という方向になる可能性が高そうです。

 ただ、減税に関するオバマ大統領と議会、特に下院の過半数を持つ共和党との意見の違いは大きいまま。2年前の中間選挙の後の協議では、共和党が大勝したため、オバマ大統領は全ての所得者層の減税延長に賛成しました。しかし、2週間前の大統領選挙で「富裕層の増税」を主張して再選を果たしたため、「富裕層は増税中間所得者層は減税延長を絶対に譲れない点です。 

ピュー・リサーチ・センターの最新の世論調査によりますと、アメリカ人の約半数が財政の崖で議会が妥協点を見いだせないと考えていることが明らかになりました。特に共和党支持者の66%が「妥協はない」と答えています。議会はきょう19日から「サンクスギビングデー」に絡む1週間の休会、そしてオバマ大統領はアジア歴訪中です。来月はクリスマス休暇もあるため、実質的な時間は4週間しかありません。

最後にマーケットは「財政の崖」をどうみているのか。ワシントン・ポストは、「マーケットはそれほど心配していない」とする記事を掲載しました。 1. 株式相場や米国債相場は「景気後退を織り込んでいない」 2. ボラティリティが高めだが2008年の金融危機ほどは高くない 3. ドルインデックスが高い、ことなどから「マーケットの懸念は小さい」としています。

[NOVEMBER 19, 2012] No 0105152

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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