2分でわかるアメリカ

2012/11/17「日本の常識は世界の非常識」6


歴史的な円高を背景に、日本企業による海外でのM&Aは、件数ベースでも金額ベースでも過去最高となる勢い。少子高齢化で先細る日本市場からM&Aで海外に打って出るケースが相次いでいる。ソフトバンクによる米スプリント買収に代表される「内需型」企業もしくは「ドメスティック企業」の海外進出も目立ち、日本企業が変わりつつある。

一方、日本人の海外留学は減少の一途。IIE、米国際教育研究所によると、2011年から2012年の学年度に米国内の大学に留学した日本人は前年度比6.2%減少し1万9000人、2万人を割り込んだ。7年連続の減少で、ピークだった1997年から1998年の年度から6割減った計算だ。一方で中国の留学生は3年連続の首位で19万4000人。グローバル化が進みアメリカへの留学生は過去最高。インド、韓国、台湾からの留学生の増加も目立つ。日本とは逆だ。

米国人が海外に留学するケースも増えている。その数は年間27万5000人に達する。留学先は、首位の英国、そしてイタリア、スペイン、フランスと続き5位は中国。複数の知人の子弟が上海に留学中だ。日本へ留学する話は聞いたことがない。インド、韓国、ブラジルへ留学する米国の学生も大幅に増えている。経済成長が著しい新興国への投資が増えていることは偶然ではない。

留学生の多くは起業家や企業幹部になる。留学時代の人的繋がり、グローバルなネットワークが広がり、電話やメールでクロスボーダーの大型取引が進むこともある。このネットワークに日本人は入っていない。ゼロではないが、極めて少ない。

IIEは日本の米国への留学生が目立って減少していることについて「高齢化と日本企業の採用サイクルがある」と指摘している。しかし、日本企業の採用サイクルは昔から同じだ。少子高齢化は確かに影響するが学生数が急減した訳ではない。日本人の「内向き志向」、そして留学経験者が活躍できない会社に問題があるとしか思えない。

 米国の名門大学院でMBAなどの学位を取得した筆者の知人は日本の「サラリーマン」を辞めた。1人ではなく全員が。豊富なネットワークや経営スキルより社内のを重んじる日本株式会社の特殊さに失望したためだ。買収した海外企業の経営に苦慮する日本企業の話をよく聞く。グローバル人材が育っていない、もしくは採用していないことが背景にある。 

[NOVEMBER 16, 2012] No 0105151

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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