2分でわかるアメリカ

2010/05/26急速に高まる2番底不況論


マイナス成長が続く不況がプラスに転じた後、再びマイナス成長になること、あるいは株価が安値後に反発、その後下落に転じ安値をつけることを2番底と言います。2番底不況を英語では、「Double Dip Recession」と言うのですが、グーグルで検索すると50万件弱、最近の記事が目立ちます。アメリカでは、2番底不況論が急速に広がっています。  

CNBCの人気コメンテーターで元ヘッジファンドのジム・クレーマー氏はきのう、「オバマ政権下での景気回復という従来の強気予想を35%の確率でアメリカ景気が二番底に向かうと下方修正しました。同じCNBCに出演したカーソン・ウエルス・マネージメントのロナルド・カーソンCEOは、「住宅市場が主導する形で来年、2番底を打つと予想、株価指数S&P500は700ポイントまで下落すると確信している」と述べています。これは現在の株価から35%低い水準です。

2番底不況論が高まる背景にあるのは、「ギリシャ発のヨーロッパ債務危機により、デフレがヨーロッパ全体に広がり、そして信用不安が一層高まり、お金が回らなくなる。その影響でアメリカ経済も中国経済も大きな打撃を受ける」という懸念です。コーネル大学のエコノミストであるプラサッド氏は、「ギリシャ、スペイン、ポルトガル、そしてアイルランドの4つの国の経済規模は世界の4%に過ぎないが、債務危機は世界規模で広がる」と予想しています。

アメリカでは貨幣の流通速度が低下する中、銀行貸し出しの減少が続いています。住宅ローンや車のローンを借りたくても、銀行が貸さないのです。日本と同様に、銀行が中小企業から一方的に融資を引き上げる「貸しはがし」の話も良く耳にします。経済指標や企業業績が改善していますが、アメリカに住む僕自身も友人もその友人も、実感が全くないのが気になります。

予想が外れて景気が本格回復に向かえばいいのですが、不透明感があまりにも強く、しばらくは2番底論が出たり消えたりしそうです。マーケットは荒い値動きが続きそうな予感です。

[May 25, 2010] No 010162

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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