2分でわかるアメリカ

2012/11/01なぜ?NYSEは電子取引まで停止した


 きょうはハロウィーン。大人はコスチュームを来てパーティー、子どもは好きな衣装で近所宅を回りキャンディをもらう「Trick or Treat」を楽しみます。ロサンゼルスはきょうも快晴、娘は「ネコ」の衣装を来て学校へ行きました。 

快晴が続く西海岸とは対照的に、東海岸ではハリケーン「サンディ」の影響が残っています。完全に復旧するのは相当の時間がかかりそうです。こうした中、1888年以来、124年ぶりに天候を原因に2日連続で休場したニューヨーク証券取引所が取引を再開しました。ここに至るまで、水面下で大きなドラマがありました。

大型のハリケーン「サンディ」が接近していた先週末。ニューヨーク証券取引所は2日間に渡る議論の結果、28日(日曜日)の午後4時ごろ「フロア取引は停止、電子取引はオープンする」と発表しました。電子取引の心臓部、サーバーは、停電や冠水の影響を受けない安全な場所で管理されているためです。

しかし。

発表から2時間半後の28日午後6時半。ニューヨークのブルームバーグ市長が、ニューヨーク証券取引所のあるウォール街周辺を避難地域に指定。状況が一変しました。ロイターによりますと、フロアのディーラーから大手金融機関、さらには当局のSEC関係者らが電話会議で「電子取引をオープンすべきか」を何度も協議しました。結局、3時間半後の28日午後10時に「完全シャットアウト」に方針変更しました。正式の発表はさらに1時間後の夜11時。関係者の一部には夜12時過ぎまで知らされませんでした

 ドタバタの背景には、取引所を閉鎖すると取引手数料が減り、金融機関に多額の損害が出るため、ニューヨーク証券取引所がギリギリまで電子取引だけの取引にこだわったことがあります。職員の安全を優先したというのが表向きの理由ですが、自社の電子取引システムが大量の注文に耐えられるか不安になったというのも理由だったとCNBCとロイターは指摘しています。 

ニューヨーク証券取引所はアメリカ最大の証券取引所です。しかし、売買高は全体の25%しかありません。電子取引だけのナスダックやBATSが過去10年で売買高を大幅に増やす一方で、老舗の売買高は減少しています。ただ、発言力だけは確保しています。伝統の重みでしょうか。ニューヨーク証券取引所の最終決定のあと、ナスダックとBATSも休場を決めました。

今回の事態を受け、ニューヨーク証券取引所は「電子取引」を一段強化するとみられます。

HAPPY HALLOWEEN!

[October 31, 2012] No 0105140

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.10.20 更新黄色いクルマが消える日ロサンゼルスはカリフォルニアらしい晴天でした。気温は28度。日本人の感覚では「暑い」と思うかもしれませんが、乾燥していて心地よい。5時間のフライトでニューヨーク…
  • 2018.10.19 更新カショギ氏の「最後のコラム」ワシントンポストが18日、行方不明のサウジアラビア人のジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏のコラムを掲載しました。「アラブ諸国に必要なのは表現の自由」と題するコ…
  • 2018.10.18 更新米財務省の為替報告書※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(15日更新)はこちら(マイページへログイン)アメリカ財務省が為替報告書を公表する予定。アメリカ東部時間の…
  • 2018.10.17 更新財政赤字、トランプ氏の主張と違った※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(15日更新)はこちら(マイページへログイン)大規模な減税分は高い経済成長で相殺される。トランプ政権が去年…
  • 2018.10.16 更新マーケットが気にするサウジ記者問題※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(15日更新)はこちら(マイページへログイン)サウジアラビア人のジャマル・カショギ記者が今月2日から行方不…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ