2分でわかるアメリカ

2012/10/13「日本の常識は世界の非常識」


ブリュッセル、モスクワ、そしてニューヨークにそれぞれ3年住んだ後、ロサンゼルスに移って9年です。海外での暮らしは合計で18年。この頃強く感じるのですが、日本で常識とされていること、当たり前になっていることが、欧米では全く反対のことが少なくありません。いつかまとめて書いてみたいと思っていたのですが、きょうから毎週金曜日(日本時間の土曜日)に連載することにしました。ちょっとイレギュラーなのですが、この連載に関しては、書き方を「です・ます」調ではなく「である」調にすることをお許し下さい。

アメリカ人は公私混同している。2001年にソニーに入社、3カ月後にニューヨークに赴任した最初の1週間の感想だった。ソニーには合わせて6年間在籍したが、一時期を除いて上司も部下もアメリカ人だった。赴任したての頃、上司の秘書がいろいろ世話をしてくれた。社内手続きや文具の調達の仕方など。

マンハッタンのマジソン街550にあるソニー・コーポレーション・オブ・アメリカ。当時トップがハワード・ストリンガー氏、100人ほどのスタッフがいたが、日本人は数えるほどしかいなかった。経営も仕事のやり方も100%アメリカ。もちろん英語しか使わない。

戸惑うことが多く、質問するため上司の秘書のところに何度も足を運んだ。彼女はいつも忙しくしていて、待たされることが頻繁にあった。待っている間、秘書をじっくり観察した。上司の歯医者の予約をしている時もあったし、上司の夏休みのホテルやフライトに苦労している時もあった。出張やミーティングのアレンジならともかく、「私的なことばかりじゃないか」とショックを受けた。

ソニーの仕事が慣れてきた頃、親しいアメリカ人に聞いてみた。「あの上司は秘書にプライベートなことばかりを頼んでいる」と。友人は、それは当たり前だと言う。「上司の収入は秘書の10倍時間を有効に活用するため安い賃金の秘書がプライベートなことを処理する」という。依頼されれば、上司のデートのためのレストランの予約もする。

秘書は上司のあらゆる情報を持っている。上司が転職した場合は、秘書も一緒に転職する。転職先もそれを知っているから、採用は秘書込みのパッケージだったりする。

 同じことが日本の会社であったらどうなるか。デートの予約を秘書に頼んだら「公私混同しないで下さい」と激怒するかもしれない。転職先に秘書を連れて行くと「美人秘書を連れてきた変態」となってしまう。こういうときは、女性秘書ではなく、なぜか「美人秘書」と噂される。 

秘書をうまく使って会社にいる時間は100%働き、報酬分以上を稼ぎ出す。これが米国流だ。もちろん、秘書の仕事に公私が混じるのは経済的合理性が理由で例外、基本的に公私混同は厳しく罰せられる。かつて、妻が勤めていた会社の同僚が、会社のクレジットカードで家族のプレゼントを買っていたことが発覚した。妻の同僚は、その瞬間に解雇された。証拠を隠滅しないよう警備員が飛んできて同僚が社外に出るのを監視する念の入れようだった。

[October 12 2012] No 0105128

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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