2分でわかるアメリカ

2012/09/14内部告発のすすめ


内部の情報を提供して1億400万ドル、日本円にして約78億円を受け取った人がいます。しかも日本の国税庁にあたるIRSから。

 スイスの大手銀行UBSの元バンカーだったブラッドレー・バーケンフェルド氏は、不動産で財をなしたカリフォルニアの顧客による脱税に関連した罪で有罪となり刑務所に入りました。先月、刑を終えて出所したのですが、収監中に昔務めていたUBSの内部情報を詳しくIRSに告発しました。 

IRSは、提供された情報で多額の税金が納められた場合、告発者に対し回収した税金の30%を報酬として払うという法律が2006年に出来ました。この法律を利用して、バーケンフェルド氏はIRSと契約しました。UBSに節税(脱税?)目的で資産を預けているアメリカ人顧客の情報や秘密主義で有名だったUBSの内部情報を詳しく提供しました。

IRSは提供された情報を元にUBSを訴え、結局7億8000万ドル(約600億円)をUBSが支払うことで和解しました。UBSにはアメリカ人の秘密口座が4000あることが、この課程で判明しました。バーケンフェルド氏が受け取った1億400万ドルは、和解金の内の税金部分4億ドルの一部だったとみられます。

税金逃れの情報を提供して、IRSが報酬を支払うというのは変に思えるかもしれません。しかし、IRSは情報により多額の税金や罰則金を得た訳で、経済的には合理的と言えます。体裁より実利を優先したものと言えます。

今回、多額の報酬が支払われたことが広く知れ渡ったため、今後、「脱税」に関する内部告発などが激増するのではないかとの見方もあります。凄い話です。

[SEPTEMBER 13, 2012] No 0105107

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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