2分でわかるアメリカ

2012/08/24想像超えるウルトラ高額医療


ヨーロッパに住む友人から相談を受けました。代理として病院と交渉して欲しいということでした。かなりプライベートなことなので正確には書けません。少し作文したことをご理解の上でお読み下さい。

友人の奥さんが妊娠しました。ただ、赤ちゃんに障害があることが判明しました。生まれて直ぐに手術をすれば新生児は普通に成長できるということなので友人は決断しました。ただ、「出来るだけ水準が高い医療機関で生みたい」ということでリサーチした結果、アメリカの3つの病院に絞られました。

医師の評価が世界で最も高かったのは東海岸のフィラデルフィアでした。見積もりは40万ドルでした。日本円で約3000万円以上です。2つ目はカリフォルニアの北部にある名門私立大学。見積もりはなんと120万ドル(約9500万円)。想像を遥かに超える額でした。

そして3番目はロサンゼルスの病院。施設が充実していて、医師も優秀。見積もりは65万ドル(約5100万円)でした。ロサンゼルスには親しい人が多いし、気候が温暖なため第一候補だと言っています。ただし、あまりにも高いのでディスカウントの交渉を依頼してきたのです。

先日、病院に行ってきました。交渉の結果、30%割引いてもらうことで了解を得たのですが、話を聞いて驚きました。新生児は手術後にICUに5週間ほど入る予定ですが、その費用が1日当たり1万ドル(約79万円)かかるそうです。1万ドル×35日=35万ドル。見積もり65万ドル×0.7=45.5万ドル。つまり、費用のほとんどはICUの入院代でした。病院は30%引きに合意しましたが、まず全額65万ドルを前払いで振り込まないと受けられないと主張しています。術後に30%を還元するということです。理由を聞いても納得のいく答えは返ってきませんでした。

 アメリカの食料品やクルマなど大半のものは日本やヨーロッパと比べ安いのですが、医療費と学費の高さは「異常」な水準になっています。なぜか。友人の奥さんが出産する予定の病院と関係が深いファミリードクターに聞きました。「アメリカの医療制度が壊れているから」という答えでした。 

お金があれば世界最高の医療サービスが受けられますが、お金がない人は外国に行くか、「寿命を縮めるしかない」というのがアメリカの現状です。

[AUG 23, 2012] No 0105092

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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