2分でわかるアメリカ

2012/07/27銀行の結婚と離婚


一昨日、サンディエゴで弁護士事務所を訪問しました。ダウンタウンで一番高そうなビル。高さではなく家賃が。「弁護士は儲けているなあ」とつくづく思いました。

アメリカでは、高級なビルに入居しているのは弁護士事務所と金融機関と相場が決まっています。ロサンゼルスもサンフランシスコもニューヨークも同様です。サンディエゴの高そうなビルに入居しているのは、弁護士事務所を除くと全て金融機関でした。モルガン・スタンレー、メリルリンチなどの投資銀行です。

弁護士事務所は別として、よく考えてみると大手金融機関は公的資金、つまり国民の税金で救われました。Too Big To Fail、大きすぎて潰せないため、経済的な影響が大きいというのが背景ですが、公的資金で救われた金融機関にいま再び注目が集まっています。

きっかけはサンディ・ワイル氏の発言でした。シティグループの元CEOであるサンディ・ワイル氏は「巨大な金融機関を分割する時が来た」とCNBCのインタビューで主張しました。投資銀行部門と銀行業務を分けるべきだとの考えです。

サンディ・ワイル氏と言えば、保険と消費者金融のトラベラーズをシティグループと合併させた張本人。いわゆる投資銀行や証券、銀行業務を含むメガバンクもしくは金融のスーパーマーケットのパイオニア的な存在です。つまり結婚を勧めた仲介者が、今度は離婚を勧めているようなものです。

 ワイル氏の発言にウォール街がすぐ反応しました。「ワイル氏は間違っている」「いまさら何を」の大合唱。著名な銀行アナリストであるメレディス・ホイットニー氏はCNBCで「メガバンクは既に部門を分けつつあり、急激な分離は必要ない」とワイル氏の主張に反対する考えを示しました。 

1930年代の大恐慌時代に、アメリカでは投資銀行と銀行を明確に分けるグラス・スティーガル法が成立しました。しかし、サンディ・ワイル氏が精力的なロビー活動を進めたことも影響して、法律は1999年に廃止されました。ワイル氏の今回の主張はグラス・スティーガル法の復活を意識させるものでワシントンでも論議を呼んでいます。

[July 26, 2012] No 0105072

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.12.08 更新2019年のFRB、世界経済、投資マーケットの2018年のテーマは、堅調なアメリカ経済、利上げを継続するFRB、トランプ政権の保護主義的な政策でした。トランプ大統領やFRBのパウエル議長の発言で…
  • 2018.12.07 更新NY株安、ミステリーで始まったニューヨーク株式市場は5日、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の国葬のため休場でした。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では、アメリカ東部時間の5日午後6時…
  • 2018.12.06 更新第41代アメリカ大統領ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ第41代アメリカ大統領の葬儀が5日、ワシントンで営まれました。国葬は2007年のジェラルド・フォード第38代大統領の葬…
  • 2018.12.05 更新逆イールド、景気後退の恐怖通常、償還期間が短い債券の利回りは、期間が長い債券の利回りより低い。例えば、2年債の利回りは10年債利回りより低い。ただし、逆転することがあります。金融業界で「…
  • 2018.12.04 更新米政府閉鎖めぐる駆け引きアメリカ連邦政府の2019年会計年度(18年10月〜19年9月)の正規予算はまだ成立していません。今週金曜日7日までに合意しなければ、政府機関の一部が閉鎖される…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ