2分でわかるアメリカ

2010/05/13ゴールドラッシュ


5年前、マリナ・デル・レイからサンタモニカに引っ越しました。ちょうど不動産のバブルがピークのころで、お隣の奥さんは不動産のブローカー、近所に住むジョナサンの奥さんも不動産のエージェント、周りは不動産関係者だらけでした。不動産バブルの崩壊で、その人たちは廃業か休業状態。かわりに増えているのは、金のセールスです。 
「金買います」と大きな垂れ幕を表に出した即席の金業者も出現しています。まさにゴールドラッシュといった感じです。 

金はトロイオンスという単位で取引されます。貴金属や宝石の原石の計量に使われる世界標準の単位で、1トロイオンスは約31.1グラムです。1934年から1トロイオンス=35ドルで長年取引されていましたが、1968年に固定の個人間取引と変動価格の2段階の価格が設定され、その後ニクソン大統領が金本位制の放棄を宣言、自由に取引されるようになりました。

この金が、2008年のリーマンショック後から安全な投資先として人気を集め、今年に入りギリシャ発の欧州の財政危機が表面化すると、さらに人気が高まりました。友人のアンディもバリーも毎日、金先物価格をチェックし、売買を繰り返しています。儲かっているそうです。それもそのはず、金は今年に入って26%も上昇しているのですから。ユーロ不安を背景に、金は連日最高値を更新、1トロイオンス1500ドルというブル(強気派)のターゲットも現実味を帯びてきました。

CNNによりますと、ドイツやスイスでも金ブームが起こっているそうです。コインの形をした金貨は去年一年で、アメリカを中心に228トンも売れたそうです。今年はさらに増えることは間違いありません。スイスなどでは、3交代制で金コインをつくっているそうです。金相場は代替投資とされ、世界経済が不安定なときに上昇する傾向があります。不況の中、親しい友人から儲かっている話を聞くのは悪い気がしませんが、金ブームは通貨の信用低下の裏返しでもありますから、喜んでいる場合ではないかもしれませんね。

[May 12, 2010] No 010153

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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