2分でわかるアメリカ

2010/05/121セント硬貨が変わるかも


1ドルの百分の一、1セント硬貨のことを「ペニー」と呼びます。イギリスの補助通貨単位が由来です。アメリカでは、道を歩いていてペニーを見つけると幸運なことがあると信じられています。これをラッキー・ペニー(Lucky Penny)と言います。落ちているペニーが、リンカーン大統領の顔がある側が上を向いている場合は、さらに幸運なことがあるそうです。

 アメリカ人に最も親しまれているペニーが導入されて今年で101年。このペニーが本当に必要かどうか、過去に何度も議論されました。ハーバード大学のグレッグ・マンキュー教授は「ペニーの役割は終わった」とかねてから主張しています。一方、ペニーを無くすと端数が切り上がるためインフレを招くとして反対するエコノミストも少なくありません。 

なぜ、このような議論が起きるのか。商品市況が上がりペニーをつくる費用が政府の重い負担になっているからです。ペニーは亜鉛でつくられていて、表面は銅でコーティングされています。1枚のペニーをつくるのに1.62セントかかります。つくればつくるほど赤字になります。

費用がかさむ上に、使用頻度が低いため、フィンランドでは1セントと2セントのユーロコインをつくるのを止めました。他のユーロ圏でも同様の措置を検討しています。ただアメリカ人は、リンカーン大統領が描かれているペニーに親しみがあるため、オバマ政権は無くすのではなく、ペニーを安い素材を使ってつくることを検討しています。コストが倍近くかかり、アレルギーを招くとして、5セント硬貨(ニッケルと呼ばれています)からは素材のニッケルを外すそうです。

硬貨の成分を変えるのは、非常にまれです。第二次世界大戦中にペニーは鉄でつくられるようになり、ニッケルには一部銀が加えられました。銅とニッケルが兵器をつくるのに必要だったからです。歴史的ともいえる硬貨の成分の変更にオバマ大統領が踏み込む。商品市況の高騰が、こんなところにも影響として出ています。

[May 11, 2010] No 010152

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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