2分でわかるアメリカ

2012/06/19投資が集まるアメリカ、投資が逃げる日本


先日、ヨーロッパの投資銀行の東京支店のM&A担当者と食事をしました。古くからの友人で、3年ぶりの再会でした。彼は最近、日本の経済産業省の担当者から「なぜ外資系企業による日本企業のM&Aが進まないのか」と相談を受けたそうです。

「円高」というのも理由の1つですが、友人は「日本が鎖国しているから」と説明したそうです。外国企業が日本に進出しようとしても、法制度や社会制度が特殊・複雑すぎて「時間がかかりすぎるから」と答えたそうです。

M&Aに限れば、合理化を進めるための人員削減も欧米並にできず、さらに税金も高いため、日本もしくは日本企業への関心が薄れていると友人が語っていました。富裕層がシンガポールなどに移住する傾向が強まり、外国から企業も投資も集まらない日本は「沈没の一途」をたどっていると友人は嘆いていました。

一方、アメリカでは外国からの投資が増えています。商務省が先週発表した最新の統計によりますと、今年1月から3月の外国からの直接投資は287億ドルでした。12四半期連続で外国からの投資がアメリカから外国への投資を上回りました。2010年と2011年の外国からの投資額は過去10年の平均を上回っています。

この統計は外国企業によるアメリカ企業の買収や不動産投資が含まれています。つまり、ロシア人や中国人がカリフォルニアやニューヨークの豪邸を買った投資は含まれていますし、BMWやフォルクスワーゲンがアメリカで新工場を作る投資が含まれています。ただ、米国債は含まれていません。

今年のアメリカへの直接投資額は2008年の金融危機前の水準を上回る見通しです。規模は世界最大で、世界の工場である中国が続きます。世界中からお金が集まるアメリカとお金持ちが脱出する日本はあまりにも対照的で、いろいろ考えさせられます。  

[June 18, 2012] No 0105046

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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