2分でわかるアメリカ

2012/06/15アメリカ人の富は20年前の水準


「富が1990年代はじめの水準に後戻り」との大きな見出しがニューヨーク・タイムズの経済欄に掲載されました。

FRBは今週、3年に一度のアメリカ人の経済状況に関する調査報告を発表しました。データは2年前の数字でちょっと古いのですが、アメリカ人の富を知る上で重視される報告書です。

それによりますと、2010年のアメリカ人家庭の総資産の中間値は7万7300ドル。これは金融危機前の2007年と比べ約40%も低い額です。金融危機と住宅バブルの崩壊がアメリカ人の家庭に大きく影響したことを示しました。  

収入も減りました。アメリカ人家庭の所得の中間値は4万5800ドルで、2007年から約8%減少しました。報告書ではこのほか、アメリカ人が不測の事態に備えて預金を増やしている傾向も指摘しています。

つまり、金融危機後に資産が大きく目減りした一方で、収入が減少、職を失うなど先行きが不透明なため少ない収入から預金しているというのが平均的なアメリカ人の実体です。これは、アメリカで暮らす僕や友人の体感する景況感と一致します。

これでは、個人消費が低迷するのは当然ですし、住宅市場が一向に改善しないのも頷けます。

著名なエコノミストであるポール・クルーグマン氏は、ニューヨーク・タイムズのコラムの中で「FRBは低いインフレが続くと同時に高い失業率が何年も続くと予想しているのに動こうとしない」と批判しています。

きょう14日に発表された週間ベースの新規失業保険申請件数は予想以上に増え、雇用の弱さを示しました。また、5月の消費者物価指数は3年ぶりに大幅低下しました。物価低下により、FRBによる景気刺激策の余地が生まれたと指摘されています。アメリカ人の富を引き上げるために、追加緩和を求める声が強まりそうです。

[June 14, 2012] No 0105044

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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