2分でわかるアメリカ

2012/06/12アメリカが社会主義化?


週末に「ザ・ディクテーター(独裁者)」という映画を観ました。中東の独裁者を描いた少し下品なコメディなのですが、この映画の最後に「民主主義は最悪だ。富が1%に集中し残りの人が苦しんでいる」とサシャ・バロン・コーエンが演じる独裁者アラディーンが外国の代表者の前で主張するシーンがあります。アメリカを皮肉ったものですが、アメリカ人の多くは笑えなかったのではないかと思いました。

去年世界中に広がった「ウォール街を占拠せよ」の運動は、格差社会の是正を求めたものでした。アメリカが誇る「民主主義」「資本主義」「自由主義」は「失敗だった」という主張までありました。  

今年11月に再選選挙を控えたオバマ大統領は、「オバマケア」と呼ばれる健康保険改革を一段と進めることや政府が主導して雇用を拡大することを公約に掲げています。格差をなくすと同時に景気をテコ入れするためです。でも、この公約は「社会主義」だと一部で批判されています。

4月30日付けのワシントン・タイムズ(ワシントン・ポストではありません)は、「新しいオバマのスローガンはマルクス主義、社会主義に繋がっている」との見出しで報じました。特にオバマ大統領のビデオキャンペーンのタイトル「Forward(前進の意味)」は、ソビエトの生みの親であるウラジミール・レーニンが使ったブペレッド(ロシア語でForwardの意味)」と同じだと主張しています。

さらに、投資情報紙インベスターズ・ビジネス・デイリーは「オバマは、政府が個人の生活に完全に入り込む方向に動いている」とするコラムを掲載しました。これを書いたのは「社会主義だった」ロシアからの移民のコラムニストです。

APは、これらの記事も紹介した上で、フランクリン・ルーズベルト大統領(1933年〜1945年)による公共投資を拡大した経済対策「ニューディール政策」などを例にあげ、「社会主義」という言葉が政治の場で出るのは珍しいことではないとしています。

こうした議論に関連してワシントン・ポストは「オバマ大統領は最悪の社会主義者」との見出しで伝えました。オバマ政権の歳出が減っていて、社会主義者としては失格だということです。アメリカの「市場経済主義」が変わるとは思えませんが、オバマ大統領は難しい選択を迫られています。

[June 11, 2012] No 0105041

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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