2分でわかるアメリカ

2010/05/11ハリウッド夏の陣


アメリカの映画界では、早くも夏の陣がはじまりました。といっても夏休みになったわけではありません。ハリウッドの映画スタジオは、5月の最初の週末から9月はじめのレイバー・デーまでをサマー・ムービーと位置づけ、競って予算をタップリかけた大作を公開するのです。マーケティング関係者にとって最も忙しい季節です。

 映画スタジオは、興行収入の40%をサマー・ムービーで稼ぎます。年末には、サマー・ムービーのDVDを発売、映画館では賞狙いのメッセージ性の強い低予算(といっても宣伝費と合わせて5000万ドル程度)の映画を公開します。メリル・ストリープが出演する映画が12月に公開されることが多いのはそのためです。 

今年のサマー・ムービーの最初の目玉は、パラマウント・スタジオのヒーロー映画「アイアンマン2」です。史上最高を記録するのではとの声もあったのですが、記録更新には至りませんでした。それでも週末の北米興行収入は1億3360万ドル(約123億円)と歴代5位でした。ちなみに歴代1位は、バットマンの「The Dark Night」で1億5840万ドルです。

僕も観に行ったのですが、確かに混んでいました。「アイアンマン2」は日本では来月公開ですが、海外の一部では二週間前から公開されていて、その分を合わせると既に3億2760万ドルの収入に達しています。

「アイアンマン2」の制作費は1億7000万ドル、これに1億5000万ドルの広告宣伝費が世界ベースで投じられていますので、パラマウントはこの映画に3億2000万ドル投資したことになります。大雑把にいいますと、興行収入のおよそ半分は映画館が受け取り、残り半分は映画スタジオの取り分です。つまり、パラマウントは既に投資のおよそ半分を回収した計算です

サマー・ムービーは、この後「ロビンフッド」「シュッレク・フォーエバー・アフター」「セックス・アンド・シティ2」「トイストーリー3」「ザ・トワイライト・サガ」と続きます。お気づきになった通り、続編のオンパレードです。

成功した作品の続編を製作するのはハリウッドの常道ですが、あまりにも多いように思います。アイデア不足でもあるのですが、投資額が大きいため、成功する確率が高い続編でリスクを下げているのです。去年の映画の夏の興行収入の合計は42億5000万ドルでしたが、今年は50億ドルに達するかどうかが注目です。「続編でもなんでも儲かれば良い」と映画スタジオの幹部が言っていました。

[May 10, 2010] No 010151

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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