2分でわかるアメリカ

2012/05/29中国エリートはアメリカ好き?


米中の外交問題に発展した「盲目の人権活動家」陳光誠氏の処遇をめぐる問題は、陳氏ら家族4人が中国を出国することで決着に向かいました。ニューヨークの名門NYUが陳氏の受け入れを表明していることから、希望通りアメリカに留学することになりました。

 ただ考えてみると、中国当局からの暴力や処罰を恐れて陳氏が事実上亡命したアメリカには、今も昔も中国政府の幹部の子弟が多く学んでいます。 

ワシントン・ポストによりますと、中国の次のリーダーとされる習近平国家副主席の娘は、陳氏がいるニューヨークからクルマで5時間ほど北のハーバード大学で学んでいます。失脚した重慶市の前市長の息子もハーバードの大学院に在籍していて話題になったばかりです。

かつては、天安門事件で失脚した中国共産党中央委員会の趙紫陽総書記(当時)の孫娘がハーバードの大学院に、また、2002年までリーダーだった江沢民国家主席(当時)の孫もハーバード大学を卒業しました。ハーバード大学は、オバマ大統領をはじめ8人の大統領が誕生したほか、75人のノーベル賞受賞者を出した名門中の名門で、中国エリートのお気に入りのようです。

政治エリートだけではなく、一般の中国人も子弟をアメリカで学ばせる傾向が強まっています。国際教育インスティテュートによりますと、アメリカで学ぶ外国人の中で最も多いのは中国人です。2位のインド人の10万3895人、3位の韓国人7万3351人を大きく上回る15万7558人の中国人がアメリカに留学中です。この人数は15年前の4倍です。ちなみに日本人は台湾出身者より少なく2万1290人で、全体の7番目です。

お金持ちになった一般人は別として、中国の政治エリートは言動と行動に矛盾があります。イデオロギーや軍事面ではアメリカを批判する一方でアメリカを象徴する名門大学に子弟を学ばせているからです。「敵を知るため」とも言えますが、単純にアメリカの大学が世界で最も良いと思っているからだとみられます。アメリカで学んだ中国の政治エリートの子弟は、帰国後に米中の緊張と対立をどう考えているのでしょうか。

きょうアメリカはメモリアルデーで祝日です。アメリカ人は、メモリアルデーを「夏のはじめ」としています。

[May 28, 2012] No 0105031

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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