2分でわかるアメリカ

2012/05/25FBのIPO巡る混乱おさまらず


Facebookの新規株式公開(IPO)を巡る混乱がおさまるどころか、日に日にエスカレートしています。

Facebook株の取引は先週金曜日の午前11時から開始される予定だったのですが、ナスダック市場のシステム障害で開始が30分遅れたほか、大量のオーダーが未処理のまま取引が終了しました。これにより、多くの機関投資家や個人投資家が多額の損失を被りました。ナイト・キャピタル・グループは3500万ドル(約28億円)の損失が出たとしてナスダックに金銭補償を求めましたが、他の投資家も続きそうです。

Facebookはナスダックに失望、ライバルのニューヨーク証券所に移ることを検討していると複数のメディアが報じました。ニューヨーク証券取引所は「話し合いはしていない」としていますが、上場後直ぐに取引所の変更を考えるのは過去に例がありません。ちなみに、Facebookの場合は、売上高や利益、時価総額が十分であるため、取引所の変更はそれほど難しくないようです。 

  まだあります。FacebookのIPOで主幹事だったモルガン・スタンレーへの批判が高まっています。モルガン・スタンレーは、上場前にFacebookの業績見通しを下方修正、その情報を大口の投資家にだけ知らせていたことが発覚しました。ウォール・ストリート・ジャーナルは、これを「ウォール街の秘密」と呼んでいます。

当然ですが、モルガン・スタンレーから極秘情報を聞いたロサンゼルスのキャピタル・リサーチ&マネージメントはFacebook株の購入を見送りました。その一方で、何も知らずに高値で買った小口の個人投資家の多くが損をしました。アメリカの証券法は、主幹事が特定の顧客にだけ情報を出すことは禁じています。FacebookのIPOで、モルガン・スタンレーを含めた幹事社は、合計で1億ドル(約80億円)の利益を上げました。しかし、モルガン・スタンレーにとっては逆に「高くついた」可能性があります。

FacebookのIPOを巡る問題は、証券や金融当局だけではなく議会も調査をはじめました。まだまだ尾を引きそうです。ソーシャル・メディアを代表するFacebookのIPOは、歴史的な「大成功」になるはずでした。いまの状況を見る限り「期待しすぎだった」のかもしれません。

[May 24, 2012] No 0105030

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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