2分でわかるアメリカ

2010/05/08コンピュータと伝書鳩


コンピュータと伝書鳩アメリカを代表する企業の株価指数であるダウが、6日の午後の取引で5分間で582ドル急落、指数が前日比で1000ドル近く下がったことに関連して、さまざま分析が出ています。

ダウ構成銘柄のプロクター・アンド・ギャンブルの株価は、60ドルから一瞬で39ドルまで急落しました。35%下げたことになります。3Mの株価も85ドル近辺から73ドル近辺に1分で下がりました。さらに、ダウ構成銘柄ではありませんが、アクセンチュアやボストン・ビールなど複数の銘柄は、一瞬ですが99%下落し1セントをつけました。ナスダックで取引されているアップルの株価も異常な値動きでした。

ギリシャ危機への懸念が重荷となって売りが膨らんでいた中、トレーダーが慌てて注文を間違えたとの指摘があります。シティグループは、社員の1人が誤発注したとの噂について調査しています。また、「コンピュータを使った超高速取引が原因であるとの分析」も出ています。

超高速取引は瞬時に売りと買いを繰り返すコンピュータを駆使した取引です。超高速取引を提供している大手のトレードボットは、ダウが500ポイント下がった段階で取引を停止しました。またトレードワークは株価が極端に変動した場合、システムが停止するシステムを組んでいて、6日午後は、そのシステムが作動したようです。

ニューヨーク証券取引所の取引は、60%以上がコンピュータで売買されています。その多くは超高速取引で、売買高の相当なシェアを占めています。6日の取引では、超高速取引による売買が突然なくなったことで、流動性が無くなり株価が極端に動いた可能性があります。

200年前ヨーロッパでは伝書鳩を使って金融取引の注文が届けられました。鳩は馬より早かったからです。電報が登場すると、株式の注文は電報が使われました。ブラックベリーで株価の異常な値動きを知ったガイトナー財務長官は、オバマ大統領に状況を知らせるためホワイハウスに駆け込んだそうです。伝書鳩と違ってコンピュータでの取引は秒単位で巨額の資金が動きます。政府関係者や取引所は、新たな対策の必要性を感じています。  

 [May 07, 2010] No 010150

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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