2分でわかるアメリカ

2012/05/23全米が注目した盗撮の重み


全米最大の大学として知られるニュージャージー州のラトガース大学の学生寮で起きた盗撮をめぐる判決が全米で大きな論議を呼んでいます。

事の発端は2010年の9月に起きました。大学1年の男子生徒タイラー・クレメンティさんは、パートナーが来るため、ルームメートのダーラム・ラヴィ氏に部屋をあけるよう依頼。ラヴィ氏は、ウェブカメラをオンにして部屋を出ました。

夜12時過ぎに部屋に戻ったラヴィ氏が録画内容を確認すると、クレメンティさんが同性のパートナーと性的行為をしている映像が映っていました。ラヴィ氏は直ぐにツイッターで「あいつが野郎とやっているのを見た」とツイート、さらに映像をストリーム配信しました。

この事件は、3日後に、男子生徒がジョージ・ワシントン・ブリッジからハドソン川に身を投げ自殺したことで大事件に発展しました。全米のメディアが一斉に報じ、裁判の行方が注目されました。  

きのう出された判決は30日の禁固刑でした。15の容疑がかけられていたのですが、陪審はその大半を有罪としました。裁判官は、ラヴィ氏の行為を数分に渡って批判しました。「10年の禁固刑もある」と予想されていただけに、30日の刑は軽すぎるとして、検察側は控訴する方針を明らかにしました。

アメリカでは、性別や肌の色、民族や宗教で差別することはタブーです。犠牲になったクレメンティさんは白人、容疑者となったラヴィ氏はインド人でした。今回は特に、盗撮行為のほか、同性愛者を差別することの重さが問われました。もし、クレメンティさんがストレートでパートナーが異性だった場合はどうだったかなどの論議が活発化しています。

今回の判決は、オバマ大統領が同性愛者の結婚を支持することを明言した記憶が薄れないタイミングで出されました。同性愛者への偏見、さらにインターネット時代のプライバシー問題など、多くのことを考えさせられました。

[May 22, 2012] No 0105028

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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