2分でわかるアメリカ

2012/05/22ここまで違う日米欧の報道


このコーナーとは別の「2分でアメリカを知る」は、その日の主要ニュースに関する欧米メディアの報道の「視点(Point of View)」を簡単にまとめたものです。匿名の記者が事実関係を伝えるのが主の日本のメディアと比べ、欧米メディアは署名記事でイベントの背景や論点を深く伝える傾向があります。また、同じニュースなのに、日本の報道と捉え方が大きく異なることが少なくありません。

米東海岸のワシントン郊外にあるキャンプ・デービッドにある別荘で主要8カ国の首脳会議が開かれました。いわゆるG8サミットです。週末のメディアはこれを大きく報じました。日本も欧米も同様です。しかし、ヘッドライン(見出し・タイトル)は異なり、G8サミットは日本と欧米の人には少し違ったメッセージが伝わる結果になりました。

今回のG8では、フランスとギリシャの選挙で「緊縮財政策」に反対する有権者の声が反映されたこと、再選挙となったギリシャがユーロ圏を離脱する可能性が出てきたことなどユーロ圏の債務危機への対応に大きな時間が割かれました。僕は「紙」から「電子」に全て切り替えたので、オンライン版のヘッドラインで比較します。

朝日新聞は「経済成長と財政再建の両立目指す G8首脳宣言」とのヘッドラインで大きく報じました。読売新聞と毎日新聞も、G8首脳が「成長と財政再建の両立で一致した」とそれぞれ伝えました。日経新聞もほぼ同様。NHKは「欧州信用不安対応、成長に配慮した政策も」とのタイトルで内容も新聞各社ともほぼ同じでした。

これに対し、ウォール・ストリート・ジャーナルは「サミットコンセンサスに苦慮」とのヘッドラインで、立場の異なるG8が「成長と財政再建の両立で意見がまとまらなかった」との視点で報じました。フィナンシャル・タイムズも「G8経済成長と財政再建で意見分かれる」として同様の視点でした。ニューヨーク・タイムズは「G8首脳が緊縮策を巡りドイツと対立」とのヘッドラインを打ちました。一方、ワシントン・ポストは、議長役のオバマ大統領の会見などを引用して、G8首脳がユーロ圏を支えるために成長戦略を優先する方向で合意したと報じました。

いかがですか。記事を深く読み込むと、さらに違いが鮮明になります。これは、情報ソースの違いや専門性、英語力など複数の背景があると考えられます。どちらが良いかは別として、可能であれば両方の報道を入手しバランスある情報を得ることをお勧めします。  

[May 21, 2012] No 0105027

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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