2分でわかるアメリカ

2012/05/16オバマ大統領の憂鬱


ロサンゼルス・タイムズの政治欄に、4人の政治リーダーの写真が掲載されました。2010年のアメリカとヨーロッパの首脳会議の際に撮られた写真で、右からイタリアのベルルスコーニ首相(当時)、オバマ大統領、ドイツのメルケル首相、そしてフランスのサルコジ大統領(当時)の4人が神妙な表情で歩いています。

ベルルスコーニ首相は去年11月に事実上失脚、サルコジ大統領(当時)は今月初めの決選投票で社会党のオランド氏に破れ、再選を果たせませんでした。きょう15日には、エリーゼ宮で「核兵器のボタン」を含め大統領の引き継ぎがあったのですが、サルコジ大統領はなんとなく寂しそうでした。

一方、サルコジ元大統領の盟友だったメルケル首相は、来年まで総選挙がないため、今週末に開かれるG8に参加しますが、ドイツの政治リーダーとしての影響力に陰りがみえます。週末に実施されたドイツ最大州のノルトライン・ウェストファーレンの議会選挙で、メルケル首相率いるCDUが大敗しました。メルケル首相がユーロ圏債務危機への対応として主導してきた緊縮策への国民の不満が背景です。

政治の歴史をみると、景気が悪いときは、政治的なイデオロギーではなく有権者は単純に変化を求めるとロサンゼルス・タイムズは解説しています。

それでは、3人のヨーロッパのリーダーと写真に写ったオバマ大統領はどうか。2008年の選挙の際は、サブプライムローン問題やリーマンブラザーズの破たんが発生し景気後退が鮮明になりました。当時のオバマ候補は、ブッシュ政権(当時)からの「Change(変化)」を全面的に打ち出し勝利しました。

あれから4年。景気後退からは回復したものの、失業率は依然高く、住宅価格も下がり続けています。今度は、11月のアメリカの大統領選挙でオバマ大統領の対抗馬になるとみられる共和党のミット・ロムニー氏が「オバマからの変化」を全面に訴えるとみられています。

 ヨーロッパで起こっていることはオバマ大統領に警鐘を鳴らしたものと言えます。支持率ではオバマ大統領がロムニー氏を上回っていますが、その差はわずかです。有権者の声に耳を傾け、選挙までに支持率を伸ばせるか、オバマ大統領の苦しい選挙戦が続きます。 

[May 15, 2012] No 0105023

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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