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2012/05/15米ヤフーCEO辞任と無名のメディア


アメリカのインターネット・サービス大手ヤフーのスコット・トンプソンCEOが辞任しました。3年半で3人のCEOが辞任する異例の事態です。株主総会を控え、トンプソン氏は、学歴詐称の混乱の責任をとって辞任したものです。

 きっかけは、ヤフーの株式5.8%を保有するヘッジファンド「サードポイント」が、トンプソン氏が実際に取得していない学歴を記載しているとして、トンプソン氏の辞任と「サードポイント」の代表を含めた3人の社外取締役の採用を求めたことです。 

ヤフーは、トンプソン氏がボストンにあるストーンヒルという小さな大学で会計学とコンピュータ・サイエンスの2つの学位を取得したとSECへのファイリングを含め、公式に情報公開していました。しかし、トンプソン氏が卒業した年にはストーンヒル大学にはまだコンピュータ・サイエンスの学部が存在せず、会計学の学位しかないことが判明したのです。

トンプソン氏の前職は、ネット・オークション最大手のeBay傘下のペイパルのプレジデントだったのですが、そこでも同じ学歴を使っていました。ヤフーにトンプソン氏を紹介したのは、ハイドリック&ストラグルズという大手ヘッドハンター会社です。このため、学歴をよく見せるために「ハイドリック&ストラグルズの担当者が詐称した」のではないかとの報道がありました。

事実は完全に解明されないまま、大株主の要望通りにトンプソン氏は辞任することで幕引きになりました。トンプソン氏は優秀な経営者であり、コンピュータ・サイエンスの学歴がなくても問題ないはずですし、過去に何度も学歴を修正するチャンスがあったのに何故しなかったのか疑問が残ります。

ところで、今回のヤフーCEOを巡る報道をリードしたのは、AllThingsDというシリコンバレー情報などを専門に報じる無名のオンライン・メディアでした。ウォール・ストリート・ジャーナルの親会社であるダウジョーンズが買収したので、報道倫理が徹底されているため信憑性が高いと思うのですが、あまり知られていませんでした。今回の報道をきっかけに、誰もが注目するメディアに躍進しました。

AllThingsDは、暫定的にヤフーのCEOに就いたロス・レビンソン氏の社員に宛てた社内メールを公開しました。653の情報源からメールを入手したとしています。情報源の多さに驚きました。

[May 14, 2012] No 0105022

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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