2分でわかるアメリカ

2012/05/03金融危機から立ち直れない名門ローファーム


ちょっと古いのですが、「プリティウーマン」という映画を覚えていらっしゃいますか。1990年に公開され世界中でヒットしたハリウッド映画です。この中で、リチャード・ギアが演じる実業家が、ジュリア・ロバーツ演じるコールガールに手を出そうとした弁護士をやっつけるシーンがあります。「せっかくお金持ちにしてやったのに」と実業家が弁護士を罵倒します。

映画の中で、実業家は会社を買ったり売ったりして巨額の富を築いた設定になっています。M&Aをする際は、買う側も売る側も弁護士を雇うのですが、弁護士にとっては「おいしい仕事」と言われています。多額の報酬が期待できるからです。  

多くのM&Aのアドバイザーをしたことで知られる名門弁護士事務所が存続の危機に瀕しています。Dewey & LeBoeuf LLPは、ニューヨークの他、世界26カ所に合計で1000人以上の弁護士を抱える巨大なローファーム(弁護士事務所)です。

金融危機があった2008年のDewey & LeBoeuf LLPの売上は10億ドル近くありましたが、それから3年経った去年の売上は7億8200万ドルまで落ち込みました。減ったとはいえ「それだけ売上があれば十分」と僕なんかは思ってしまうのですが、状況はかなり深刻です。

ウォール・ストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズなどによりますと、Dewey & LeBoeuf LLPは1億2500万ドルの社債を発行したほか、大手銀行から約75億ドルの融資を受けていますが、パートナー弁護士に対する報酬や年金が重く、破たんする可能性があるということです。多くの報酬が未払いになっていて、既に75人のパートナーがローファームを離れました。前会長がパートナーの報酬に関し不正があった疑いも浮上、検察が調査中です。

Dewey & LeBoeuf LLPが破たんすれば、過去最大の弁護士事務所の破たんになります。身売りも検討されていますが、もしそうなれば、M&Aで稼いできた弁護士事務所が買収されるという皮肉なことになります。アメリカはまだ金融危機から立ち直っていません。

[May 02, 2012] No 0105014

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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