2分でわかるアメリカ

2012/04/28外国で賄賂を要求されたら


小売最大手のウォルマートがメキシコの役人などに2400万ドルの賄賂を渡していた疑惑をニューヨーク・タイムズが先週末に報じ、波紋が広がっていることは、24日付けの「2分でアメリカを知る」でお伝えしました。

 ウォルマートを巡っては、報道をきっかけにアメリカとメキシコの両政府が本格的な捜査に乗り出しました。さらに、アメリカの主要企業が外国の役人らに賄賂を渡していないか、当局が監視を強化しています。 

アメリカの証券取引を監視しているSECは今週、ウォルト・ディズニー、ドリームワークス・アニメーションなど4つの映画スタジオに中国での取引に関する質問状を送りました。

中国政府は最近まで外国映画の劇場公開は20本に限定していました。しかし、ハリウッド・スタジオが中国政府に働きかけ公開本数が34本に増えました。中国政府系企業とハリウッドとの共同制作も最近、目立って増えています。このため、ハリウッドのスタジオが中国の政府関係者に賄賂を渡した可能性があるとの見方が一部で出ていてSECが調査を始めたのです。

一方、アメリカの化粧品大手のエイボンの幹部が最近退社したのですが、その幹部が中国で賄賂を渡していた疑いがあるとウォール・ストリート・ジャーナルが報じました。

また、医薬品メーカーのブリストル・マイヤーズは、ドイツ当局から賄賂疑惑で捜査を受けたのに続き、アメリカのSECも召喚状を送りました。他の欧米の医薬品会社にも、イラク、ポーランド、ルーマニアなどでの賄賂疑惑が浮上しています。今週はさらに、チェサピークというエネルギー大手の疑惑も報じられました。

アメリカでは、The Foreign Corrupt Practices Act of 1977という連邦政府の法律があります。日本語に訳すと「海外腐敗行為防止法」。アメリカ企業が外国の公務員に賄賂を渡すことを禁止するとともに、証券取引法に基づき会計の透明性を求める1977年にできた法律です。一連の疑惑や捜査などは、この法律が根拠になっています。

中国や東欧、ラテンアメリカなどでは、外国企業が事業を展開する際に必要な認可を取得するための手続きが複雑で時間もかかることが多くあります。そして、賄賂を要求されることが多くあるとされています。アメリカは「世界の模範」という自負があり、企業の競争力が削がれても不正を厳しく取り締まる方向です。ウォルマートの疑惑をきっかけに加速した外国での不正防止の流れはヨーロッパにも広がっていて、日本にも波及する可能性があります。

[April 27, 2012] No 0105011

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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