2分でわかるアメリカ

2012/04/27メヒコに帰る


先日、サンディエゴの知人を訪ねた後、フリーウェイで検問がありました。時間は夜9時。飲酒の検査かと思ったら、国境警備隊による不法移民の取り締まりでした。知人によりますと、メキシコと国境を接するサンディエゴからロサンゼルスに向かうフリーウェイでは「ときどきある」検問だそうです。

アメリカには、約1200万人のメキシコ人が暮らしています。メキシコで生まれた10人に1人がアメリカに住んでいることになります。そして、その半数は非合法だとみられています。  

アメリカ人の多くは「メキシコ移民が増え続ける」との印象を持っているのですが、過去5年間では増えていないことが最新の調査で明らかになりました。

超党派の調査機関であるピュー・ヒスパニック・センターが今週発表したレポートによりますと、メキシコからアメリカへの移民流入が止まり流出が流入を上回る逆転現象が起きていることが明らかになりました。

センターがアメリカとメキシコの両政府の国勢調査などのデータを分析した結果、2005年から2010年までの5年間のメキシコ人移民の増減率は「ゼロ」でした。メキシコからの移民が全くいなくなったのではなく、流入した移民と同じ人数のメキシコ人が帰国したということです。このトレンドに従えば、2012年の今年はメキシコ人移民の数が減少に転じた可能性があります。

なぜか。金融危機の影響でアメリカでの仕事が減った一方で、メキシコで仕事が増えていることが要因の1つとみられています。小売大手のウォルマートがメキシコでの新規出店に絡んで巨額の賄賂を払っていた疑惑が浮上していますが、ウォルマートはメキシコ各地に2100店浦を持ち、2万人以上を雇用しています。大手自動車会社も最近相次いでメキシコ工場の建設を発表して、多くの雇用が見込めます。また、オバマ政権による国境警備の強化の影響もあります。

さらに、メキシコ人の出生率の低下も背景にありそうです。1960年の統計では、メキシコ人の女性は平均で7人以上の子どもを産みました。それが2009年の統計では2.1人まで下がりました。養う家族が減り仕事も増えているため帰国するメキシコ人が増えているのです。

移民、特にメキシコ移民の問題は大統領選挙の争点の1つにもなっています。しかし、帰国者が増えるというトレンドが続けば、争点でなくなるかもしれません。

[April 26, 2012] No 0105010

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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