2分でわかるアメリカ

2012/04/14ソニーに冷ややかなアメリカ


初めに断っておきたいのですが、僕はソニーの元社員であり、少数ですがソニーの株主でもあります。ソニーには友人が大勢います。このため、ソニーに関する意見にはバイアスがかかっています。

ソニーの加藤CFOは、2012年3月期の業績が5000億円を超える過去最大の赤字になる見通しを発表しました。そして、ハワード・ストリンガー氏から引き継いだ平井CEOが1万人の人員削減を含む経営方針を正式に発表しました。欧米のメディアはソニーの不振をトップ級で伝えたのですが、いずれも「厳しい視点」でした。

ロイターは「経営目標の実現性に不透明感」、ニューヨーク・タイムズは「ソニーを含めた日本の家電メーカーがmust have items、つまり誰もが欲しがる商品をもう何年も出していない」と報じました。CNBCも4年連続の赤字は相当深刻だと報じました。

記事の多くは、アナリストのコメントなどを引用しているのですが、ソニーをカバーするアナリストのほとんどは東京に住んでいます。そこで思ったのですが、アナリストがアメリカに住んでいたら、もっと厳しい見方になったのではないか。

世界最大のマーケットであるアメリカは、ソニーの最重要市場です。しかし、アメリカでのソニーのステイタスは急落しています。ソニーのテレビはサムスンより安く売られていますし、バイオ・ブランドのコンピュータを見かけるのはソニー・ピクチャーズの映画の中だけです。新型ウォークマンは使い方が複雑でタダでも貰ってくれません。日本市場は、依然として日本のメーカーの商品が主流ですが、アメリカではソニー製品が店頭からどんどん消えています。売れないからです。

ソニーのタブレットやPSヴィータなどの新製品は、発表した時点で「誰が買うのか」と疑問に思うものばかり。1980年代と1990年代のソニーの革新的なイメージはアップルに移って久しいですし、「プレミアブランドのイメージはサムスンにあります

1946年に創業者の井深大氏が書いた設立趣意書の最初に「自由闊達にして愉快なる理想工場を建設する」とあります。しかし、一部の社員によりますと、社内政治が蔓延していて自由闊達に発言できない部分があり、時代からずれた非理想的な工場になっています。

ストリンガー時代は「失われた7年」だったかもしれません。ソニーの新経営陣による「理想工場の再建設」は、革新的な商品の開発にかかっていると考えます。

[April 13, 2012] No 0105001

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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