2分でわかるアメリカ

2010/05/05車の都がカリフォルニアに


あなたの夢をつくる(Build Your Dream)の頭文字をとったBYDが、ロサンゼルスのダウンタウンに北米の本社を設立します。BYDは95年に創設された中国の自動車メーカーで、電気自動車の大手です。年内に大型セダンのe6を導入する計画です。

BYDがロサンゼルスを選んだのには、理由があります。1960年代までに、ロサンゼルスの市街交通手段として発達したパシフィック電鉄の路面電車が撤去され、関東平野ほど広域なのに公共交通機関がほとんどない、別の言い方をすれば、世界に例がないほど自動車偏重の都市になったのです。このため、高速道路が早くから整備され、10本以上の幹線道路が市街を網羅しています。さらに巨大な港湾施設も充実しています。

インフラに加えて市場規模も十分です。ロサンゼルス郡の人口は980万人、ディズニーランドやエンゼルス・スタジアムがあるオレンジ群を合わせると1300万人と巨大な経済圏です。環境問題への意識も高いため、電気自動車にとって最高の市場なのです。

ノルウェーの電気自動車メーカー「シンク」の調査では、アメリカで電気自動車に最も適した都市はロサンゼルスが1位でした。プリウスがブレイクしたのもロサンゼルスです。今後、世界中の電気自動車メーカーが、競ってこの街に来そうです。

同じカリフォルニアの北部には、高級電気自動車メーカーの「テスラ」の本社があります。時代が電気自動車に移り、世界の自動車の中心がデトロイトがあるミシガンからシリコンバレーとロサンゼルスがあるカリフォルニアに移りつつあります

ちょうど20年前、カリフォルニアの排気ガス規制を受け、GMがEV1という電気自動車を発売しました。しかし、走行距離が短かったことや政治的な理由も絡んで市場から消えてしまいました。この話は「誰が電気自動車を殺したのか」(Who Killed Electric Car?)という映画にもなりました。

ただ、充電施設だけは残ったのです。ロサンゼルスには400ヶ所の充電施設が既にあり、年内に100施設が増設されます。GM主導で設置された充電施設が、中国の自動車メーカーに使われるというのは皮肉な話ですね。  

 [May 04, 2010] No 010147

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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