2分でわかるアメリカ

2012/04/10タックスヘイブンが天国で無くなる日


ケイマンやバミューダと聞くと日本人は「脱税」をイメージすると思います。これが、アメリカ人が聞くと「お金持ちの銀行があるところ」という印象を持ちます。

タックスヘイブンとは、課税が完全もしくは大幅に軽減される国や地域のことです。小さい島国や産業がない国が、貿易の拠点や金融センターなどになることを促進するために導入した制度です。企業や富裕層はタックスへイブンを「節税」目的で利用することが多いのですが、「節税」ではなく「脱税」に悪用される例が後を絶ちません。秘密主義であるため、実体が把握しにくいことが背景です。

タックスヘイブンの中で最も顧客情報の秘密を守ることで有名なのがスイスです。しかし、その秘密主義がアメリカなどの圧力で揺らいでいます。ニューヨーク・タイムズは、スイスのプライベート・バンクやウェルス・マネージャーなどは、顧客情報を開示するようアメリカ政府などから強い圧力を受けていると報じています。  

それによりますと、アメリカの税当局であるIRSは、スイス最大手のUBSにアメリカ人の顧客情報を開示するよう迫り、最終的に4450人の顧客情報を渡しました。そして7億8000万ドルの罰金がIRSに追加納税されました。クレディ・スイスやジュリアス・ベアもIRSのターゲットになっています。

一方、スペイン政府は、1930年台にスペインの富豪が開設したスイスの銀行口座の情報開示を求めました。口座の持ち主はサンタンデール銀行の会長ですが、2010年に2億ユーロの追加税を支払う結果につながりました。

世界中の景気が低迷する中、各国政府は税収確保に必死です。金融危機にスイスの銀行が間接的に関係していたことも情報開示の動きを加速しています。OECDによりますと、これまでに10万人の富裕層の情報が開示され、187億ドル(約1兆5000億円)の追加的な税金が納められました。この動きは今後、世界中で広がりそうです。

[April 09, 2012] No 0104998

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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