2分でわかるアメリカ

2012/04/05時代遅れの法律


お世話になっている会計士のオフィスを一昨日訪問したのですが、机の上に、所得申告の資料が山積みになっていました。税申告サービスの大手H&Rブロックの近所の店舗には行列ができていました。去年1年間の所得を申告する期限を4月17日に控え、会計事務所や申告サービス会社はどこも一年で最も忙しい時期を迎えています。

 4月17日に申告期限を迎えるのは個人所得です。所得を申告した人は連邦政府への個人所得税と州政府への所得税が確定します。この内、連邦政府税には普通の税金とAMT(Alternative Minimum Tax)という特殊な税金の2つがあります。 

AMTの計算は難解なので説明は省きますが、これは「時代遅れの税法」によるものです。

AMTが導入されたのは1970年。高額の所得があるにもかかわらず控除を最大限活かして連邦所得税を1セントも支払わない155人に税金を納めてもらう目的で法律になりました。つまり、高額所得者から確実に税金を徴収する目的で作られた法律です。

1970年当時は20万ドル以上の収入があった人が高額所得者でした。それから42年が経ち、この間のインフレ率を加味すると当時の20万ドルは現在の110万ドルに相当します。しかし、単純なミスなのか、それとも意図的だったのかは不明ですが、AMTはインフレ調整をしないことになっているため、ミドルクラスの家庭にAMTが適用されるケースが増えはじめました。

通常の給与所得だけの人は適用されないのですが、例えば年収20万ドルの人が外国などでの損失を計上すると所得税は減るのですが、AMTの支払いが発生する可能性があります。今年は430万人のアメリカ人にAMTが適用される見込みです。これは過去最大です。想定外の税金が課せられるミドルクラスの人が大勢いるということです。

アインシュタインは、「ほとんどのことはわかるが、税法だけは理解できない」と語っていたと知り合いの会計士から教えてもらいました。長い歴史の中で、税法は時代に合わせて修正されてきました。現在の税法はツギハギだらけです。別の言い方では複雑怪奇です。アメリカ政府は過去20年に渡ってAMTの修正を試みましたが、いまだ実現していません。

[April 04, 2012] No 0104995

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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