2分でわかるアメリカ

2012/03/28稼いでいる人に熱い視線


毎年この時期になると、アメリカでは税金に関連する話がメディアなどで大きく取り上げられます。前年度の個人所得の申告期限が近いからです。

2011年1月から12月まで得た収入に関する申告の期限は4月17日です。本来なら4月15日なのですが、今年は週末とIRS(日本の国税庁に相当)の本拠地があるワシントンDCの祝日があるため、2日遅れの締め切りです。日本と異なり所得があった全員が対象です。グリーンカードやビザを持ちアメリカで働いている人も世界中の所得を申告する義務があります。

この時期にIRSが興味深いデータを公表しました。去年、監査をした人の統計です。IRSはこれまで、アトランダムに抽出した納税者を対象に、所得が正しく申告されているかどうか、納税は正しくされているかを監査していました。しかし、データをみると監査の対象が、お金持ちにフォーカスされていることがわかりました。

それによりますと、2010年に監査を受けたのは全体の約1%。このうち100万ドル(約8300万円)以上500万ドル(約4億1500万円)以下の収入があった人で監査を受けた人は約12%。前の年の7%から5ポイントも上昇しました。

収入がさらに多いと監査の確率は一段と高くなります。500万ドル以上1000万ドル(約8億3000万円)以下の収入があった人の監査率は約21%、1000万ドルを超えると約30%に上がります。実に約3人に1人の割合です。前の年は18%でしたので、監査を受ける確率が大幅に上昇したことがわかります。

 これは、公認会計士の知人の話と一致します。この会計士は去年、高額所得の顧客の多くが監査に遭い「大変だった」と話しています。監査を受けた人は平均で5万ドル(約415万円)以上、追加納税になったそうです。IRSが「お土産を持ち帰った」と言っていました。 

なぜか。財政赤字が拡大し、IRSが税収をできるだけ確保したいという事情があります。お金持ちを監査したほうが、多くの追加的な税金を徴収する確率が高いですから。

今年は高額所得者への監査がさらに強化されそうです。財政赤字に加え、大統領選の共和党候補者の先頭を走るミット・ロムニー氏の存在も背景の1つです。他の候補者からの要求で2010年度の申告を公表したところ、所得わずか13.9%しか納税していないことがわかったからです。過去の投資などを含め申告し「節税」したからなのですが、これがきっかけで、「お金持ちはもっと税金を払え」という声が社会的に広がっています。

[March 27, 2012] No 0104989

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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