2分でわかるアメリカ

2012/03/23アメリカの社長と日本の社長

CNBCをみていたらアップルの最高経営責任者であるティム・クック氏を話題にしていました。クック氏は17年ぶりに株式配当を再開、また自社株買いを決めました。株主の要請に応えたものです。

アップルの故スティーブ・ジョブズ氏が「革新的な商品の開発」を最優先し、配当の実施を見送ってきました。その方針をクックCEOが大転換したことになります。CNBCのコメンテーターの一人は「クック氏はジョブズ氏より株主を重視した」と発言しました。

ただ、ジョブズ氏が株主を無視したというよりも「イノベーションこそが会社の価値を上げる」と考えていたともいえそうです。ジョブズ氏がつくった商品は世界中で売れ、株価は上がりましたし、積み上がった利益が今回の配当への原資となりました。結果として、ジョブズ氏も株主に貢献したことになります。

カリスマだったジョブズ氏は例外ですが、一般的にアメリカの企業経営者は株主を重視します。オーナーである株主の利益を最大限にするため社長が経営をしているともいえます。この考え方はアメリカだけではなく、イギリスでもロシアでもシンガポールでも共通です。韓国は1997年にIMFが入ってきて欧米型の経営スタイルになったと指摘されています。

これに対して日本は別の世界にいるのかしれません。日の丸半導体会社と呼ばれたDRAMメーカー、エルピーダが先月末に破たんしました。破たん後の坂本社長の記者会見に欧米の人は違和感を覚えました。10年間も赤字が続き、公的資金が注入された末の破たんにもかかわらず、社長ら経営陣は留任、リストラも最小限、工場も維持すると発言したからです。


経営者も社員もそのままですが、株価は1円になりましたので、株主がひとり損をした格好です。アメリカの企業からみれば、エルピーダの社長の発言は、労働組合の委員長のように聞こえたと思います。エルピーダの社長は、日本企業の社長の典型ともいえます。

日本の社長とアメリカの社長。どちらがいいかの判断は、株主側にいるか、会社側にいるかによって大きく異なると思いますが、世界の社長はアメリカの社長タイプが大多数です。

[March 22,2012]  No 0104987
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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