2分でわかるアメリカ

2012/03/17全米で最も住みたくない街


サンフランシスコから東へ約80キロ、カリフォルニアの州都サクラメントから南へ約70キロに、ストックトンという地方都市があります。サンフランシスコ湾に繋がる運河や川が繋がっているため「陸地の港都市」として知られ、1800年代半ばから後半の「ゴールドラッシュ」時に最も栄えた街の1つです。アスパラガスの産地としても知られています。

この人口29万人のストックトン市が、3カ月以内に「破たん」を宣言する可能性が高まっていると地元メディアが伝えています。

なぜか。全米で最もサブプライムローンの影響を受けた街だからです。風と水、そして広い土地に恵まれたストックトンは2000年以降、風力発電やそれを活かした産業のブームに沸きました。それに伴い不動産価格が大幅に上昇しました。1998年から2005年の間に3倍になりました。

地元の住人は、審査が甘い金融機関から多額の資金を引き出し、競って住宅を買いました。住宅の値上がり分を銀行から借りるモーゲージローンも最大限引き出して消費にあてました。

そして2007年。サブプライムローン問題が表面化します。ストックトンの住宅価格は、2006年から2007年のわずか1年で約40%値下がりしました。その後も不動産は下がり続け、全米で最も住宅バブルの影響があった都市になりました。失業率は18%を超え、カリフォルニアで最悪。犯罪も増えました。フォーブス紙は、2010年に「全米で最も住みたくない街」の1つにランキングしました。

個人破産が急増、余裕のある人はストックトンを離れました。企業も離れました。ストックトンの中心街はゴーストタウンと化し、港にはボートが一隻もありません。  

ストックトン市で現在働いている人のほとんどは公務員です。税収が激減したため、当然赤字が拡大しています。ロサンゼルス・タイムズは、「事実上破たんしているのに、公務員の組合との労働契約の破棄に市が動かない」と報じています。まるでギリシャのようです。

ストックトンが「破たん」を宣言した場合、アメリカの破産裁判所の歴史で最大の「破たん都市」になります。サブプライムローン問題の傷は、まだ癒えていません。

[March 16, 2012] No 0104983

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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