2分でわかるアメリカ

2012/03/14癒しが人気


日本の音楽業界で去年、最も話題を集めたのはAKB48ではなく由紀さおりさんでした。オタクとして知られ、赤いランドセルを持ち歩いているピンク・マルティーニ氏との共作「1969」が世界30カ国で販売され、欧米を中心にヒットしました。

アルバムに収録されたのは昭和の歌謡曲。しかも、日本語で歌っています。なぜ売れたのか。業界ではさまざまな分析がありました。「コンピュータでつくった曲が溢れる中で美声が光ったから」「本物を求める人の琴線にふれたから」などの見方があります。また、世界的に景気が悪い中で「欧米人が癒しを求めていた」との声もありました。

たしかに、由紀さおりさんの「夜明けのスキャット」は癒しですね。日本でバブルが膨らんだ1980年代には、対照的に「イケイケ」の曲ばかりでしたので、説得力があります。

「癒し」と言えば、アメリカではカントリー・ミュージックです。といっても、ウィリー・ネルソンやジョニー・キャッシュに代表される「土臭い」カントリーではなく、軽めのカントリーです。日本で言えば、演歌よりも昔のフォークソングに近いかもしれません。  

軽めのカントリー・ソングの代表がテイラー・スウィフトさんです。ビルボードが今週発表した2011年にアメリカで最も稼いだ歌手のナンバーワンでした。アメリカ国内だけで3570万ドル(約29億円)の個人所得がありました。2010年のトップだったレディーガガさんを17%も上回りました。

ビルボードの去年最も稼いだトップ40には、テイラー・スウィフトさんを含めてカントリー・シンガーが11人もランキング入りしました。大物のDJや「イケイケ」の歌手は、ランキングを大幅に下げたか、もしくはランキング外でした。

今年のグラミー賞を独占したイギリス人のアデルさんも、どちらかと言えば癒し系です。しかも、由紀さおりさんやテイラー・スウィフトさんと同様に女性です。先週末に発表された雇用統計など、このところアメリカ経済の改善を示す経済指標が相次いで発表されていますが、本当に「回復した」と言えるのは、「イケイケ」や「ロックンロール」の曲が売れはじめた時かもしれません。

[March 13, 2012] No 0104980

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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