2分でわかるアメリカ

2012/03/06ボルトはなぜ売れない


再生したアメリカの自動車大手GMが、電気自動車「シボレー・ボルト」の生産を今月19日から一時中断します。ミシガン州にある工場の1300人の従業員は、5週間の一時帰休を強いられます。

 GM復活の象徴、またはアメリカ自動車の再生のシンボルとして、ボルトは去年、華やかなデビューを飾りました。デビュー当初は、近所でボルトを何台か見かけたのですが、同じ電気自動車の日産リーフなどと比べて台数が増えない印象がありました。 

去年の販売台数は7671台で目標の1万台を大きく下回りました。今年は6万台と強気の販売目標を立てているのですが、これまでに売れた台数は1626台に留まっています。年末から年初にかけて、販売が落ち込みました。

販売不振の理由はいくつかあります。

まずは、イメージの低下です。アメリカの運輸当局は去年、衝突事故が起きた後に放置すれば発火する可能性があるとして調査しました。今年1月に「欠陥なし」というシロの判定が出たのですが、「ボルトは安全ではないというイメージがアメリカ人の中で出来てしまいました。

販売不振の最大の要因とみられているのが値段です。

ボルトは電気自動車と呼ばれていますが、正確にはプラグイン・ハイブリッドカーです。小さいガスタンクがついていて、発進の際、そして充電したバッテリーが切れた際はガソリンに切り替わります。値段は3万3500ドル。最近はボルトと同程度の燃費のクルマが少なくとも22台は発売されていて、しかも3万ドル以下です。景気が回復基調にあるとはいえ、消費者はまだまだ慎重ですので、この値段の差は大きいと思います。シボレーブランドは、GMの最も安いラインです。

先週も当コラムで書きましたが、アメリカでは、ガソリンの値段が景気を左右するとされる1ガロン当たり4ドル台まで上昇しています。GMにとっては、「エコ」を売り物にするボルトの販売を促進するチャンスなのですが、皮肉な結果になりました。

[March 05, 2012] No 0104974

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.06.19 更新増える米資産バブル論※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(18日更新)はこちらウォール街関係者は「バブル」という言葉を使うことを可能なかぎり避けています。誰も使い…
  • 2018.06.16 更新ナパワインがメニューから消えたアメリカのトランプ政権の通商政策に世界が動揺しました。トランプ大統領は15日の声明で、技術と知的財産が中国に盗まれることを容認できないとして、中国からの輸入品5…
  • 2018.06.15 更新「カリフォルニア州を3分割」投票へアメリカ西海岸の大部分を占めるカリフォルニア州は、幅広い意味で全米最大の州です。人口は4000万人。アメリカ商務省の最新のデータでは、経済は2兆7470億米ドル…
  • 2018.06.14 更新歴史的会談めぐる認識ギャップトランプ大統領は13日、金正恩朝鮮労働党委員長と会談したシンガポールから帰国しました。エアフォースワンがワシントン郊外のアンドリューズ空軍基地に着陸した直後、北…
  • 2018.06.13 更新米エコノミストのシナリオ、2020年景気後退経済指標でみるアメリカ経済は絶好調。失業率は18年ぶりの低水準に低下、賃金の伸びは年末までに3%に達する見込み。2018年のGDP成長率は3%近いとの予想がみら…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ