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2012/02/28「アーティスト」が選ばれた背景


映画業界の世界最高の栄誉であるアカデミー賞の授賞式が昨夜、ロサンゼルスでありました。ハリウッド、ビバリーヒルズ、サンタモニカなどのホテルやレストラン、バーでは、至るところで「オスカー・パーティー」で盛り上がりました。我が家にも友人家族が来て、ワインを飲みながら受賞式を鑑賞しました。まさにビッグナイトでした。

アカデミー賞はどう選ばれるのか。まず対象は、ロサンゼルスで1週間以上に渡って有料で劇場公開した265本の作品です。業界の発展に貢献した監督やプロデューサー、脚本家をはじめとする映画芸術科学アカデミーの会員が6000人以上いるのですが、この人たちの郵便投票によって選ばれます。会員には、エントリーした作品のDVDが郵送されていて、それを見た上で投票します。

アカデミーは世界大恐慌の直前1927年に設立されたのですが、引退を宣言もしくは死亡しない限り、基本的に永久に会員資格を維持できることもあり、会員の高齢化が進んでいます。例えば、監督賞にノミネートされたマーティン・スコセッシ氏は今年70歳ですし、80歳代の会員も少なくありません。ロサンゼルス・タイムズの調べでは、会員の中間年齢は62歳50歳以下は14%しかいません

このため、3Dなど最新のテクノロジーやコンピュータ・グラフィックを駆使した若者に人気がある作品より、高齢者が好む作品が受賞する傾向にあります。ただし、マーティン・スコセッシ氏が監督した「ヒューゴ(Hugo)」は、3D作品です。

作品賞をはじめ多くの賞を受賞した「アーティスト(The Artist)」は、高齢化したアカデミーの会員に受けそうな典型的な作品でした。サイレント映画からトーキーの時代に生きる男優と女優の恋愛を描いた作品で、ノスタルジーを感じた会員が多かったとみられます。

 映画業界はいま、稼ぎ頭だったDVDの市場が壊滅的で、それに替わるデジタル配信の売上はまだ発展途上です。つまり、ビジネスモデルの移行期にあります。芸術性よりもビジネスが優先される時代に「アーティスト」が最高の栄誉を得たことは、アカデミー会員の抵抗なのかもしれません。 

[February 27, 2012] No 0104969

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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