2分でわかるアメリカ

2012/02/25スーパーPACで泥沼戦


SUPER PACという言葉を最近よく耳にします。「スーパーパック」と呼びます。スーパーマーケットのお徳用商品ではありませんし、銀行の定期預金でもありません。政治の話です。

日本でもヨーロッパでも、そしてアメリカでも、政治にはお金がかかります。何にお金がかかるかというと、選挙運動にお金がかかります。選挙事務所の人件費や広告費など、特にアメリカは国土が巨大なので交通費が嵩みます。

アメリカでは、選挙に立候補した人は、寄付を集めて経費を捻出します。ただ、企業や団体が政党や政治家に直接寄付することは禁止されています。また、個人献金は年間で一人5000ドル(約40万円)に制限されています。そこでPolitical Action Committee(政治運動委員会)が登場します。略してPACと呼ばれています。

簡単に説明しますと、PACは、政党や政治家とは直接関係がない独立団体で、企業や個人はPACを経由して寄付することができます。企業や個人と政治家の間に新たなレイヤーをつくることで、合法的に寄付することが出来るのです。登録された団体ですので、寄付した企業や個人に税制上も有利です。ただ、寄付の額はこれまで低水準にとどまっていました。

しかし、2年前の2010年、裁判所は「言論の自由」を認める観点から、企業や個人がPACへ無制限に寄付できるとの判断を示しました。つまり、お金持ちの人は、5000ドル以上いくらでもPACに寄付できるようになり、企業も自由に献金できるようになったのです。この判決が出来て以降、PACは「スーパーPAC」と呼ばれ、巨額の寄付金が集まるようになりました。

スーパーPACをうまく利用しているのは、大統領選の共和党候補者指名争いの先頭を走るミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事です。ロムニー氏を支持するスーパーPACは3000万ドル(約24億円)以上を集めました。主に、対立候補を中傷するテレビ広告に使われました。共和党の他の候補もスーパーPACからのお金でロムニー氏を批判する広告費を捻出しています。

オバマ大統領は、もともと「スーパーPAC」に批判的だったのですが、選挙で苦戦が予想され、手段を選べなくなり、スーパーPACから巨額の寄付金を集める方針に転換しました。集めたお金の多くは、共和党の候補者を批判するテレビ広告などに使われることになります。

11月6日の大統領選挙を控え、スーパーPACをきっかけにした中傷合戦が一段と醜くなりそうです。

[February 24, 2012] No 0104968 

 

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.10.24 更新ウォール街が恐れたことが現実に東京、上海、香港のマーケットで23日、株が大きく売られました。いずれも2%を越す下げ。香港は3.08%安でした。ヨーロッパの株式相場も大幅下落。フランクフルトは…
  • 2018.10.23 更新当たったらビリオネアアメリカでは州によって宝くじのルールが異なりますが、多くの州で販売されている「メガミリオン」の1等(ジャックポット)賞金が過去最高になり話題を集めています。メガ…
  • 2018.10.20 更新黄色いクルマが消える日ロサンゼルスはカリフォルニアらしい晴天でした。気温は28度。日本人の感覚では「暑い」と思うかもしれませんが、乾燥していて心地よい。5時間のフライトでニューヨーク…
  • 2018.10.19 更新カショギ氏の「最後のコラム」ワシントンポストが18日、行方不明のサウジアラビア人のジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏のコラムを掲載しました。「アラブ諸国に必要なのは表現の自由」と題するコ…
  • 2018.10.18 更新米財務省の為替報告書※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(15日更新)はこちら(マイページへログイン)アメリカ財務省が為替報告書を公表する予定。アメリカ東部時間の…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ