2分でわかるアメリカ

2012/01/26「1984」に裁判所が異議


イギリスのジョージ・オーウェル氏が1949年に書いた「1984」という小説をご存知ですか。1950年代に発生した核戦争を経て、1984年までに、世界がオセアニア、ユーラシア、そしてイースタシアの3つの超大陸に分割され、思想や言語など市民にあらゆる統制が加えられるという小説です。65の言語に翻訳された世界的なベストセラーで、日本では早川文庫から出版されています。

「1984」は未来を予測した優れた小説ですが、アメリカでは「プライバシー問題」が話題になる際、引用されることが多くあります。

どういうことかと言いますと、「1984」の中では、市民がテレスクリーンと呼ばれる双方向通信端末によって全ての行動が当局によって監視されます

小説が書かれてから約60年経った現在、双方向通信端末であるスマートフォンやGPSが普及、幅広く使用されています。CIAやFBIも容疑者の行動を調べるのに使用していることは想像に難しくありません。

そこに裁判所の「ノー」が出ました。アメリカの連邦最高裁判所は今週はじめ、警察などが容疑者らのクルマにGPSを取り付ける為には、捜査令状が必要との判断を示しました。

2005年に、ワシントンDCの警察がコカインの密売をしているとみられていたナイトクラブのオーナーのクルマにGPSを秘密裏に取り付けたことを巡って、逮捕された容疑者が「プライバシーの侵害で捜査は違法だ」と訴えました。ナイトクラブのオーナーは下級審では有罪でしたが、最高裁は判決を破棄しました。

 警察であろうと許可無く個人の行動をトラッキングしてはならないという最高裁の判断は、デジタル時代の重要な指針となります。それにしても、オーウェル氏の未来を洞察する力は凄いですね。 

[January 25, 2012] No 0104947

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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