2分でわかるアメリカ

2012/01/25iPhoneとMade in USA


先週末にゲッティ・ミュージアムに行きました。伝説的な石油王、J・ポール・ゲッティが邸宅の隣に建てた美術館です。ゴッホやゴーギャンをはじめ数多くの西洋絵画が展示された無料の美術館です。ロサンゼルス市を一望できるなど景色もいいため、ときどき行きます。

この美術館の入り口近くで、リサイクルバッグを買いました。10ドルとちょっと高かったのですが、めずらしく「Made in USA」だったので買いました。


最近、ロサンゼルスやラスベガスの観光客向けスポットで、「Made in USA」の土産物をよく目にします。彫り物や帽子など、工業品というよりもローテクな商品です。かつては「Made in Japan 」、いまでは「Made in China」ばかりのアメリカでは新鮮です。  

ニューヨークの郊外ではアメリカ製だけを売るショップが人気です。その名も「Made in America Store」。文房具や日用品、食料品などが中心です。ショップのオーナーが、「Made in USAのデスクトップ・コンピュータを特注したところ3,000ドル(約23万円)以上したそうです。デザインはアメリカながら中国製のアップルやデルのデスクトップの3倍以上の値段です。

1年ほど前、カリフォルニア北部のシリコンバレーで、オバマ大統領がハイテク企業の幹部とディナーを共にしました。この席で大統領は、まだ元気だったアップルのスティーブ・ジョブズ氏に対し、「iPhoneをアメリカで作れないのか」と聞いたそうです。

これに対し、スティーブ・ジョブズ氏は、中国は人件費が安いだけではなく、労働者の質、工場の規模と柔軟性などがアメリカよりも優れていて「アメリカで作ることはあり得ない」と説明したそうです。

アップルの従業員一人当たりの利益は40万ドル以上。これは、ゴールドマン・サックスよりも高く、グーグルよりも上です。アップルはアメリカ国内で4万3000人を雇用、海外で2万人を雇用しています。製造は外注していて、実際に海外では10万人以上を間接的に雇用していることになります。

今年の大統領選挙の最大の争点は「雇用の創造」です。製造の最適化が進む中、アメリカにiPhoneの製造が戻ってくることはあり得ません。「雇用」は想像以上に難しいテーマかもしれません。日本も同じ問題を抱えていると思います。

[January 24, 2012] No 0104946

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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