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2010/04/27移民をめぐるオバマとアリゾナの戦い


ハリソン・フォード主演の映画「正義のゆくえ I.C.E特別捜査官(Crossing Over)」は、不法移民のメキシコ人と移民局の特別捜査官の心理を描いたドラマです。去年公開されましたが、全米でヒットしませんでした。しかし、映画のテーマであるアメリカの不法移民の問題は、ワシントンとアリゾナ州で大きな注目を集めています。

アリゾナ州議会は先週、「合法的な滞在を証明する書類を所持していない外国人を、その場で逮捕する権限を警察官に与える」という不法移民に関する法案を可決しました。これにオバマ大統領が「人権侵害だ」として激しく批判しました。しかしその数時間後、アリゾナのジャン・ブリュワー知事は法案に署名、成立しました。  

アリゾナ州には、不法移民が46万人いるとされています。保守的な考えを持つ白人が多い共和党支持者は、「不法移民が仕事を奪っている」として取り締まりの厳格化を主張しています。ブリュワー知事は、オバマ大統領を敵にまわしてまで署名したのは、共和党支持者の票を失いたくなかったからです。増税で低迷していたブリュワー知事の支持率は、署名後に上昇したそうです。

アメリカとメキシコの国境は、「毎年100万人の不法移民が入国する」と言われています。メキシコと国境を接するカリフォルニア、アリゾナ、テキサスなどの州の人口の5.5%は不法移民です。カリフォルニア大学デービス校の調べでは、アメリカの農業人口の45%が不法移民ですロサンゼルスではベビーシッターや清掃食器洗いなど最低賃金以下で働く不法移民がいなくなると経営や生活が成り立たなくなるほど社会に入り込んでいます。不法移民がいなくなると、オレンジやワインの値段が上がり、洗車からレストランにいたるまで値上げが相次ぐことが予想されます。

オバマ政権は、移民問題を最重要案件として議会に審議を急ぐよう働きかけています。比較的寛大な移民政策で黒人の人口を上回ったヒスパニックの支持を広げたいという思惑があります。しかし、白人の支持者が多い共和党は抵抗しています。11月の中間選挙まで、不法移民をめぐる綱引きが続きそうです。

[April 26, 2010] No 010141

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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