2分でわかるアメリカ

2011/12/312012年、試練のジャパン4「オオカミ少年」


オリンパスの粉飾決算問題は、いち企業の問題というよりも、日本企業の特殊性を、欧米にあらためて印象づける形となりました。

特殊性はいくつかあります。

その1つが、日本企業の経営の仕組み。日本の上場企業のほとんどは、取締役会と執行役員が重なっています。そのほとんどが、終身雇用制のもとで、同一企業に何十年にも渡って所属するサラリーマンです。

欧米企業の取締役会は、執行役員のCEOだけ、もしくはCEOとCOOの2人だけでほとんどは社外の人です。取締役会は通常、2カ月に一度程度しか開かれません。執行役員の多くの役職は、経営のプロ、専門職として外部から採用されます。執行役が経営を、取締役会がアドバイス、監視役という位置づけで、株主が最重視されます。監査は、不正がないか、法令を遵守しているかをチェックしますが、経営に口を出すことはありません。

オリンパスの粉飾決算に関する調査委員会は「行き過ぎたサラリーマンの根性」とコメントを出しました。会社を守るためなら何でもする、外にはわからなければいい、社長は任期中に問題がなければ何もしなくてもいいという日本独特の企業体質があったのだと思います。オリンパス問題について、欧米メディアは異例といえるほど大きく連日に渡って伝えました。

特殊性ではありませんが、日本企業の特徴に利益率の低さがあります。アメリカの上場企業の四半期の利益は、日本の大企業の何年分になることが少なくありません。雇用に柔軟性がないことも影響して、経費を削減するのに限界があります。ビジネス相手との関係に縛られることも少なくなく、柔軟な経営が出来ていません。

投資家のジム・ロジャーズ氏は、「来年は日本株がいい」と言っているそうです。日本の株式相場は20年以上も上がっていませんが、利益率の低さを考えると株価はまだ高すぎると個人的に思います。ある中国の実業家は「日本企業であることがネガティブになっている」と話していました。  

最後に政府関係者から最近、間接的に聞いた話をひとつ。それは「オオカミ少年」の話。オオカミが来たと嘘をついた少年を誰も信じなくなるグリム童話ですが、結末はオオカミが本当に来て村人を食べてしまいます。日本の国債依存度が49%になり、「いつか日本国債が暴落する」とする話をよく耳にします。政府関係者は、それがいつか必ず来ると言っているのです。

2年後か5年後かいつの日かわからないけれど。ある日、日本の機関投資家が日本国債を売り、個人投資家も追随する。結果として日本国債が暴落、安全な米国債を買うため円が急落、日本の株式相場も下落する極端なトリプル安がいつか来というのです。その前に日本全体が変わらないといけないと警鐘を鳴らしたのです。 2012年は「日本が変わる年」になるといいのですが。

来年もよろしくお願いいたします。

[December 30, 2011] No 0104931

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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