2分でわかるアメリカ

2011/12/03最後の貸し手


アメリカは年末商戦の真最中。アメリカでは年末に、家族や親戚、お世話になった人に贈り物をする習慣があり、この時期に大量に買い物をします。日本の中元と歳暮、クリスマスが一度に来たような感じです。大雑把に言って、アメリカ人は平均で約700ドル(約6万円)を使うのですが、景気が悪いので資金繰りに苦しむ人が少なくありません。このため「最後の貸し手」の利用者が増えています。

 「最後の貸し手」とは中央銀行ではありません。Pawn Shopです。日本語で「質屋」です。Pawn Shopは3,000年前に中国に登場したとされていて、ヨーロッパでは質店が集中するロンドンの通りの名前をとって「Lombard」と呼ばれています。 

1929年の大恐慌の際、アメリカでは多くの金融機関が破たんしましたが、Pawn Shopだけが市民に現金を貸し出していたそうです。金融危機後の景気低迷のいま、誰もお金を貸してくれない人の多くが「質草」を持ち込んでいます。金利は月利3%から6%と高く、30日以内に金利を含めて返金しないと質流れされます。つまり、担保が売却されます。ローンではなく、単純に売却することもできます。

APによりますと、キャッシュ・アメリカなど株式公開している3つのPawn Shopの直近の四半期の利益は1年前と比べて少なくとも25%以上増えています。また、共同購入サイトのグルーポンの創業者がはじめたPawngo.comも、中間層を中心に利用者が急速に増えています。

景気以外に、Pawn Shopの利用者が増えている理由がもう1つ。テレビ番組です。ヒストリーチャンネル「Pawn Star」はラスベガスの家族経営の質屋を舞台にしたリアルな番組なのですが、古文書やヘリコプターなど変わった質草が持ちこまれることや、顧客の説明と店員のやり取り、鑑定士のコメントが面白く人気番組になっています。テレビ東京の長寿番組「何でも鑑定団」の質屋版です。

約2500万人のアメリカ人は銀行口座を持たないと見られています。預入額が少ないと手数料を取られるため、口座を持たない人口が増えると見られています。こうした人の需要が高まり、現在1万2000あると言われるPawn Shopがさらに増えるかもしれません。

[December 02, 2011] No 0104912

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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