2分でわかるアメリカ

2011/11/29外国人からしっかり稼ぐ


15年ほど前、モスクワのクレムリンに隣接する美術館に妻と行った時のことです。美術館の職員が入り口で「インツーリストの観光客はいますか」と来場者に聞いていました。

インツーリストは旧ソビエト時代に誕生した国営の旅行会社です。外国人観光客はかつて、インツーリストを利用しないと旅行できませんでした。いまでは自由化されましたが、当時はまだインツーリストを利用する外国人が大勢いました。

美術館を訪れたアメリカ人とドイツ人が「自分は外国人でインツーリストを利用している」と申告しました。職員は西側から来た2人を特別窓口に連れて行き、入館料と引き換えに英語のパンフレットを渡しました。その一人に後で聞いたところ、入館料はロシア人の10倍以上でした。「外国人からはしっかり稼ぐ」ということです。

アメリカにも「外国人からしっかり稼ぐ」企業があります。先週金曜日は「ブラックフライデー」という1年でモノが最も安く、最も売れる日だったのですが、若者に人気のアバクロンビー&フィッチは、外国人客が多い店舗ではディスカウントを限定しました。

日本では「アバクロ」と呼ばれるアパレルメーカーは、ブラックフライデーは深夜に開店し朝9時まで全商品を50%引き、それ以降は40%引きにしたのですが、観光地で外国人の顧客が多いニューヨーク5番街店や僕の近所のサンタモニカ店は30%引き、9時以降は割引無しになりました。

リピーター、もしくはリピーターになる可能性がある地元の顧客を大切にし、外国から来て値段の感覚がない顧客からはフルプライスを払ってもらう戦略と受け取れます。ブラックフライデーの午後、サンタモニカのアバクロの前を通ったのですが、アジアから来たとみられる観光客で混雑していました。

 ところで、今年のブラックフライデーは前年比6.6%増と業界の予想を大幅に上回りました。記録的な売り上げでした。外国人も売り上げに貢献したと思います。 

[November 28, 2011] No 0104908

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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