2分でわかるアメリカ

2010/04/20グッチを履いた略奪者、ゴールドマン問題の行方


「2分でアメリカがわかる」というコーナーは、筆者が肌で感じたアメリカのトレンドや新しい動きなどをコラム形式で描く場所です。しかしながら今日は、ゴールドマン・サックスが証券取引委員会に訴追された問題がウォール街にとどまらず、大きな社会問題に発展する可能性があるため、このコーナーで触れさせて頂きます。

僕が注目している経済学者ポール・クルーグマン氏は、ゴールドマン・サックスの行為を、「お金持ちの象徴であるグッチのローファーを履いた投資銀行家による略奪」だと表しています。SECは、「価値が下がることが分かっている金融商品を売り本当に大事なお客さんだけが利益を得たと指摘しています。

週末に何人かの専門家とこの問題を議論し、不透明な部分が多いのですが、いくつかのことが見えてきました。

1. ゴールドマン・サックスが法を犯したかどうかは不明だが、モラル上問題が大きく世論はSECを支持している

2. ゴールドマン・サックス以外にも、JPモルガン・チェース、シティグループ、ドイチェバンク、UBSも類似した商品を売っていて、SECは既に捜査を始めていて投資銀行全体に広がる可能性が高い

3. 中間選挙を控えたオバマ大統領と上下両院議員が、金融規制の強化に本格的に乗り出す。総選挙を直前に控えたイギリスのブラウン首相とドイツのメルケル首相も同様に動く

ゴールドマン・サックスの事件は、1989年のジャンクボンドの帝王といわれたマイケル・ミルトンによるインサイダー取引事件以来の大事件に発展する可能性があります。目先は、株式相場が戻る局面があるかもしれませんが、今回の事件をきっかけに大きな調整に入ることも予想されます。為替市場では、安全な投資先としてドルと円が上昇することが多くなりそうです。

法廷論争は長期化し、数年に及ぶ可能性があります。「グッチのローファーを履いた略奪者」あるいは神谷秀樹氏が言う「強欲資本主義」の行方を、アメリカ全体が注目しています。

[April 19, 2010] No 010136

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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