2分でわかるアメリカ

2011/10/21ウォール街デモとジョージ・ソロス氏


ウォール・ストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズなど新聞メディアに対して、ロイターやブルームバーグは「ワイヤー」と一般に言われています。欧米の新聞メディアは日本の新聞と比べ、独自の分析や解説が重視されます。一方、ワイヤーは「事実関係を出来るだけ早く伝える」メディアです。

ワイヤーメディアの代表であるロイターが先週末に配信した記事が、ワイヤーらしくない内容で、しかも驚くような内容だったため話題を集めています。

 ウォール街から全米、そしてローマやロンドンなど世界の主要都市に拡大した市民運動「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)を背後で資金援助しているのは著名な投資家で富豪のジョージ・ソロス氏の可能性があるとの報道です。 

ソロス氏が主催するオープン・ソサエティ財団が「タイズセンター」というサンフランシスコのNPOに寄付、その「タイズセンター」がカナダの反資本主義団体「アドバスターズ」に約18万ドルを支払ったというのが記事の根拠です。アドバスターズはウォール街デモの背後にいる団体の1つとされています。記事を読み返したのですが、ジョージ・ソロス氏との関係が間接的で根拠として弱く憶測の域を出ていない記事だと感じました。

ジョージ・ソロス氏自身も関与を否定していて、ロイターの記事の信憑性が揺らいでいます。ニューヨーク・マガジンは「なぜロイターはデモとジョージ・ソロス氏を関係付けようとしたのか」との記事を掲載するほど、謎は広がるばかりです。

「ウォール街を占拠せよ」の運動は活動が今週で1カ月を超え、まだまだ続く可能性が高そうです。運動では「1%の富裕層が富を独り占めし、99%の国民が苦しんでいる」と格差の是正を訴えています。考えてみると、明らかに1%に入るジョージ・ソロス氏が運動を支援することは、自分を否定することになるので、やはりソロス氏の関与はないのではないかと思います。

多くの批判を背景に、ロイターはその後、「ソロス:ウォール街デモを支援していないというタイトルで記事を大幅変更しました。

[October 20, 2011] No 0104879

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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