2分でわかるアメリカ

2011/10/20日本企業に欧米の冷たい視線


オリンパスのマイケル・ウッドフォード前社長が解任された問題は活字メディアを中心に日本で連日報道されていますが、欧米は冷ややかな目で状況をみています。

きっかけは、元日経新聞記者の阿部重夫氏が主宰する会員制月刊誌FACTAの記事をウッドフォード氏が読んだことでした。オリンパスが過去数年に行った複数の買収に支払った価格とフィナンシャル・アドバイザーに対する巨額の報酬を疑問視する記事です。

フィナンシャル・アドバイザーに対して「買収額の36.1%にあたる6億8700万ドルもの報酬を払っていた」とウッドフォード氏はウォール・ストリート・ジャーナルに話しています。

アドバイザーの報酬は買収額の通常1%から2%ですので、事実であれば「何かある」と考えるのは自然だと指摘されています。フィナンシャル・アドバイザーはケイマン籍で実体がつかめていません。

ウッドフォード氏は、プライスウォータークーパーズに調査を依頼、中間報告では「不適切な行為が行われた可能性を排除できない」と指摘されました。

オリンパスの菊川会長は「適正に処理されている」と反論しています。ただ、報道は収まらず、欧米の不信感が日に日に強まっています。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、日本企業の閉鎖性とコンセンサス重視の経営の問題との視点で報じています。フィナンシャル・タイムズは、ウッドフォード氏のインタビューを大きく掲載しています。事実関係を正確に伝えていますが、インタビュー記事を読むと、「日本企業は不透明」との印象が残ります。また、ニューヨーク・タイムズは、欧米と日本の企業文化の衝突という視点で報じています。

今回の問題は、オリンパスが欧米で知られた企業であること、中心人物がイギリス人ということで広がったとも言えます。オリンパスのお家騒動というより、日本企業全体の異質を欧米に印象づける結果になっています。一日でも早く事実関係を明らかにし、信頼を回復して欲しいです。  

[October 19, 2011] No 0104878

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.12.15 更新トランプ大統領、任期全うできるか12月9日からの1週間は、トランプ大統領にとって就任以来で最悪の週だった。ワシントンポストのコラムニストが伝えました。確かに、トランプ大統領に打撃となるニュース…
  • 2018.12.14 更新アメリカのガラパゴス日本に帰国する際は非接触型ICカードを使っています。JR東日本のSuicaや首都圏の地下鉄やバスで利用できるPASMO。コンビニや自販機でも使えて便利だと思いま…
  • 2018.12.13 更新FRBの利上げけん制、最後のプッシュアメリカのトランプ大統領が11日、ロイターのインタビューを受けました。ウォール街で話題に。金融情報に強い通信社による単独インタビューのため、慎重に準備したことが…
  • 2018.12.12 更新ホワイトハウスの重要ポスト先週末まで、「ホームランド」をアマゾンプライム・ビデオで毎日観ました。2011年から放送されているCIAエージェントのテロリストとの戦いを描いたテレビドラマで8…
  • 2018.12.11 更新中国がiPhone差し止め、微妙なタイミング中国の福建省福州の裁判所が、特許侵害をめぐるクアルコムとの訴訟に関し、アップルのiPhoneの輸入と販売を差し止める仮処分を下したことが明らかになりました。クア…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ