2分でわかるアメリカ

2011/10/15伝統的なマーケットが壊れている


著名なヘッジファンドのマネージャーであるジョン・ポールソン氏が今週はじめにウェブを使って投資家に投資方針の変更を伝えました。世界で最も成功したファンド・マネージャーとされたポールソン氏ですが、運用するアドバンテージというファンドは9月だけで12%の損今年はじめからの損失は32%にも達し、顧客の流出が続いています。バンク・オブ・アメリカやヒューレット・パッカードなどへの株式投資が響きました。

ポールソン氏のような著名な投資家が株式投資で損失を出すケースが目立って増えています。ファンダメンタルとテクニカルの分析を駆使した伝統的な投資手法で儲けられなくなってきているとの指摘があります。

CNBCは、「マーケットが壊れていて、伝統的な投資手法が役立たなくなった」と伝えています。

背景には、インターネットがビジネスモデルを根底から変えたこと、グローバル化などで中央銀行の金融政策が過去と比べ効果が限定的となっていること、ETFという過去に存在しなかった金融商品が登場したこと、そしてHDRと呼ばれるコンピュータのプログラムによる高速トレードが普及した4つの理由があるとCNBCのグリーンバーグ氏が主張しています。

アメリカ人が歴史的に好む株式投資が、過去に例が無いほど難しくなってきたのかもしれません。確かに、最近の株式相場をみていると、好材料が出ても効果が一時的、また悪い材料には極端に反応するボラタイルな展開が増えました。10月は、1929年の大恐慌をはじめ株式が暴落したケースが多いので、「今年も?」という指摘があります。そうなるかどうか不明ですが、株式投資に自信をなくした個人投資家が少なくありません。

 アメリカでは、年金をはじめ資産のほとんどが株式という人も珍しくありません。雇用と住宅もそうですが、やはりアメリカは株式相場が本格回復しないと、景気が良くならないのではないかと思います。株式投資で利益を出すことが難しい時代の難しい問題です。 

もうひとつ。日本の株式相場は20年前の4分の1以下の水準にあります。世界的にみても異常な状態だと言えます。日本政府は円高は気にするのに株安は気にならないのでしょうか

[October 14, 2011] No 0104875

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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