2分でわかるアメリカ

2011/10/08混迷深める米住宅業界


オバマ政権と50の州は、住宅ローンの支払いが滞ったオーナーから不適切に物件を差し押さえたとして金融機関との和解交渉を何ヶ月も続けていました。総額250億ドル(約1兆9000円)の和解金を金融機関に払わせ、オーナーの一部に返すという交渉だったのですが、全米最大で最も住宅差し押さえ件数が多いカリフォルニア州のハリス司法長官が先週末交渉のテーブルから降りると宣言しました。

カリフォルニア州の交渉撤退はニューヨーク州に次ぐもので、和解が成立しない可能性が高まりました。ハリス司法長官が撤退を決めたのは、和解条件がオーナーに不利なためです。今後は、独自に金融機関と交渉する計画です。オバマ政権と他の州は、スピードを重視していましたが、カリフォルニア州は実利を重視したのです。

交渉をリードしていたカリフォルニア州とニューヨーク州の撤退によって、住宅ローンを巡る問題はさらに長期化しそうです。選挙を来年に控えたオバマ大統領にとっても悩みの種がさらに増えたことになります。さらに、和解交渉に参加していたバンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェース、シティグループ、アリー・フィナンシャルなどの大手金融機関にとっても先行きが不透明になりました。

住宅バブルがはじけた2007年以降、これまでに約450万件の住宅が金融機関によって差し押さえられました。ほとんどが金融機関によりローン残高より大幅に低い額で売られました。金融機関は裁判を通して差額を元オーナーに請求するケースが増えています。ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、差し押さえられた住宅の64%が裁判所から差額の支払いを命じられました。

住宅ローンを巡る政府と金融機関の争い、同時に進む住宅差し押さえ。こうした中で住宅市場が改善に向かうとは思えません。金融業界を専門とする調査会社FICOが実施した最新の調査によりますと、73%の銀行家が「住宅のデフォルトが最低5年は高水準で続く」と答えています。また、約半数の銀行家が「住宅価格は2020年まで上昇しない」と予想しています。

当コラムで、アメリカ経済の2大問題である住宅と雇用を意識して定期的に取り上げているのですが、書くごとに状況が悪くなっている感じがします。

[October 07, 2011] No 0104870 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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