2分でわかるアメリカ

2010/04/15全米を騒がすテネシーの女性


アメリカでいま世間を最も騒がしている人物。核安全保障サミットを主催したオバマ大統領では当然ありませんし、復帰したタイガー・ウッズでも、セクシーなレディ・ガガでもありません。トリー・ハンセンというテネシーの女性です。

トリー・ハンセンは、去年9月にロシアで7歳の男の子を養子として迎えました。しかし、その男の子のことが気に入らなかったのか、それとも気が変わったのか、なんと男の子を1人で飛行機に乗せモスクワに送り返してしまったのです。男の子に携えたロシア文部省宛の手紙で、トリー・ハンセンは「男の子に精神的な問題があり、その行動から安全を脅かされたため」と書いています。

 事件を受けて、ロシアのラブロフ外務大臣は、米露の双方が公式の合意文書をかわすまで、アメリカ人による養子縁組を停止する方針を示しました。主要新聞、テレビ、ネットメディアがこの衝撃的な事件を連日報道しています。

1991年に旧ソビエトが崩壊し、新生ロシアが誕生して以来、約6万人のロシアの子供が養子としてアメリカに渡りました。90年代前半のロシアの混乱期ほどではありませんが、去年は約1600人の養子縁組が成立しました。この数は、中国からの養子3000人、エチオピアの2300人と比べ3番目の規模です。 

アメリカは社会が多様で高齢者や不妊に悩むカップル、ゲイのカップルなどが養子を受け入れるのは一般化しています。マドンナ、アンジェリーナ・ジョリー、ニコール・キッドマンなどのセレブもアフリカなどから子供を引き取っています。アメリカ国内では、法律の規制などが影響して、子供を欲しい人は海外に養子を求めるのです。一般のアメリカ人には、金髪ということもあり、ロシアの子供は人気が根強くあり、いまでも養子ツアーが組まれたりしています。

アメリカに渡ったロシアの子供のうち15人が死亡したという統計があります。虐待なのかは不明です。養子縁組みの費用は、一組あたり日本円で約350万円です。現在3000人のアメリカ人が、ロシアから養子を受け入れる手続きを進めています。

テネシーの1人の女性をきっかけに国際問題にまで発展した今回の事件ですが、早く養子縁組の公式ルールをつくって欲しいと思います。

[April 14, 2010] No 010133

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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