2分でわかるアメリカ

2011/09/2010年前の最優良会社の落日


僕がはじめてブラックベリーをみたのは、アメリカに赴任したばかりの2001年。ウォール街の投資銀行家が、まるで子どもが任天堂DSに集中するように、メールをチェックしていたのを記憶しています。

1999年に登場したカナダのリサーチ・イン・モーションが開発した携帯電話端末ブラックベリーは、発売後直ぐにウォール街だけではなくシリコンバレーでも大ヒット。携帯電話で電子メールが読める便利さが評判になり、アメリカの大企業が相次いで導入しました。リサーチ・イン・モーションは、世界的に注目される最優良企業の一社とされました。

 そんな神話が急激に崩れかけています。先週金曜日に発表された今年の第2四半期、6-8月期の決算が59%の減益となり業績見通しも弱気だったため株価が急落、時価総額がわずか一日で30億ドル(約2300億円)吹っ飛びました。業績の急変を受け、ウォール街のアナリストや業界の専門家は、ブラックベリーの存続さえ疑い始めています。 

背景には、もちろんアップルのiPhoneやグーグルのアンドロイドを搭載したスマートフォンの普及があります。個人だけではなく、企業の多くがブラックベリーからiPhoneなどに切り替えているのです。

リサーチ・イン・モーションは過去3年で2つの大きなチャレンジをしました。まずはキーボードレスのブラックベリーの発売です。iPhoneの成功に刺激されたものですが普及しませんでした。もう1つは、プレイブックと名付けられたタブレットです。iPadと比べ魅力がなく、全く売れていません。

そしていま、リサーチ・イン・モーションはブラックベリーにQNXという新しいOSを導入する予定です。しかし、アナリストの多くはQNXでも状況は変わらないとみています。会社を売却するしかないとの見方も少なくありません

破たんした同じカナダの会社ノーテルの特許を購入したこともあり、リサーチ・イン・モーションは2000もの特許を持っています。グーグルが特許欲しさにモトローラを高額で買収したように、「ブラックベリーはいらないけど特許は欲しい」という会社が少なくありません。

それにしても、10年前の最優良会社の激変ぶりをみて、時代の変化のスピードにあらためて驚きました。

[September 19, 2011] No 0104856

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.07.21 更新「ドクター・コッパー」示唆する危機※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(17日更新)はこちら(マイページへログイン)国際商品市場で代表的な非鉄金属である銅相場の下げが止まりませ…
  • 2018.07.20 更新輸入車関税の方向決める1週間※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(17日更新)はこちら(マイページへログイン)アメリカ商務省は、アメリカに輸入される自動車と自動車部品が安…
  • 2018.07.19 更新トランプ関税、今度はウラン?※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(17日更新)はこちら(マイページへログイン)先月末から今週初めにかけて、北朝鮮が高濃縮ウランの生産を強化…
  • 2018.07.18 更新ゴールドマンの次期CEOはクラブDJ※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(17日更新)はこちら(マイページへログイン)アメリカの金融機関大手ゴールドマン・サックスが17日、第2四…
  • 2018.07.17 更新遅刻の常習プーチン、擁護したトランプロシアのプーチン大統領は遅刻常習犯として知られています。日本の安倍首相、ドイツのメルケル首相、イギリスのエリザベス女王、ローマ法王をはじめ数多くの要人との会談に…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ