2分でわかるアメリカ

2011/09/14富豪の税率が年収260万円の人より低い訳


アメリカを代表する大富豪の1人、ウォーレン・バフェット氏が最近、「お金持ちの税率を上げてください」と主張しています。財政再建に取り組んでいる議会に手紙を送り、マスコミに頻繁に登場して、自分を含めた高額所得者への増税を訴えています。  

バフェット氏が増税を訴えているのは、現行の税制があまりにも不公平だからです。その一番の理由は、キャピタル・ゲイン税にあります。

株式や不動産などを売却した際に、買った値段と売却価格の値段の差が利益になります。この利益に課せられる税金をキャピタル・ゲイン税というのですが、アメリカの税率は上限が15%です。ビル・クリントン政権時代に15%まで引き下げられ、次のジョージ・W・ブッシュ時代にも引き継がれました。

これに対し、年収が3万4500ドル(約260万円)の人が支払う所得税は20%です。

ワシントン・ポストによりますと、アメリカの所得番付上位400人の収入の60%はキャピタル・ゲインで、給与などの収入は8%にしか過ぎません。残りのアメリカ人、つまりほとんどの人はキャピタル・ゲインが収入全体の5%で、ほとんどが給与です。

結果として、富豪の税率が中低所得者に課せられる税率より低くなります。このため、お金持ちとそうでない人の差がますます広がる構造になっています。

オバマ大統領は高額所得者への増税を一貫して主張しています。バフェット氏の提案にも当然賛成しています。大統領は年収20万ドル(約1540万円)以上の世帯の増税を含む経済対策法案を昨日議会に提出しました。しかし、議会は「ねじれ」で、高額所得者への増税に反対している共和党は「景気に悪影響」として増税には慎重です。

自由の国、そして平等の国を掲げるアメリカ合衆国には、さまざまな矛盾が混在していますが、お金持ち優遇はそろそろ転換する時かもしれません。

[September 13, 2011] No 0104852

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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