2分でわかるアメリカ

2011/09/01実体からずれたドル指数


円相場が歴史的な高水準で推移し、スイスフランが対ドルで最高値を更新することが過去3カ月で何度もありました。しかし、世界の為替ディーラーやファンド・マネージャーがベンチマークにしているドル指数が、対円や対スイスフランの動きから大きく乖離することが増えました。ウォール・ストリート・ジャーナルは、「ドル指数が12年も見直されていない」として、指数がドルの実体を反映していないと指摘しています。

ドル指数とは、ユーロ、円、ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、そしてスイスフランの主要6通貨に対するドルの相場を指数化したものです。インターコンチネンタル取引所(ICE)で指数が取引されています。  

ICEドル指数の起源は、1973年にFRBが導入したドル指数です。アメリカがブレトンウッズ体制を放棄し金本位制をやめたことに伴いドル相場の動きを見る手段としてつくられました。当時は10通貨が対象でしたが、1999年にユーロが導入された際に現在の形になりました。

対象の通貨数が減ったのはいいのですが、問題はその比重にあります。ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、ユーロの比重が指数全体の58%もあります。アメリカとユーロ圏との実体取引は13.3%しかありませんので、ユーロの比重が重すぎると言えます。

このため、ドルが対ユーロで大幅に上昇した場合、ドル指数もほぼ同じ幅だけ上昇します。その時に、対オーストラリアドルでは小幅高、対円では下落ということもあります。つまり、ドル指数はユーロドルの動きしか反映されていないということです。

この問題は、ファンド・マネージャーらの頭を悩ませているのですが、世界のトレーダーがドル指数を参考にしているため、無視も出来ない状態になっています。さらに、世界第2位の経済大国となった中国の通貨である人民元や為替取引でのシェアが拡大しているオーストラリアドルが指数の計算に含まれないことも問題がありそうです。

12年前と比べて世界経済は大きく変化しました。「完璧な指数はない」と言われますが、時代に合わせてドル指数を見直す時が来ているのかもしれません。

[August 31, 2011] No 0104843

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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